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正妃養成講座~後宮の妖~

今さら、LaLa10月号のネタバレです。
ひさしぶりの李順さんメインのお話です。
絵でもSSでもなぜか書きやすい、そんな毒舌李順さんが好きです。

ふざけた話ですが、ご了承頂けた方はご覧ください!






誰もいない政務室。
陛下は机上の山となった書類に目を通しつつ、ふぅっと息を吐かれた。
「まさか、蘭瑶が教育係を引き受けるとは思わなかったな。
さすがは夕鈴だ。天然スキル凄すぎ……」
私も同じように溜め息をつきつつ、昼間の様子を思い出した。
アホのような顔をして、
「このままでは私っ!妖怪なのです!」
と叫ぶ妃……
そしてなぜかそれに心を動かされたらしい、毒花。
ああ、あちらもこちらも頭が痛い。

「アレの何が良かったかはさておき……
考えが見えませんね。」
底の見えない、あの冷たく美しい笑顔。
「後宮の毒花とはこういうものかと、背筋が寒くなりましたよ。」
そんな私に、何故か陛下は楽しげに笑った。
「あれは花に擬態した毒蜘蛛だ。
気をつけろよ李順。
お前と言えど、気を抜けば見えない糸に絡め取られ毒牙にかけられるかもしれんぞ。」
私は暗闇の中、じっと獲物を待つ毒蜘蛛を想像して、改めて背筋を粟立てた。
冗談ではない。
あのような蜘蛛に魅入られようものなら、助かる自信はない。
冷や汗をかく私を置き去りに、陛下は続けた。
「あれこそ後宮に巣くう魑魅魍魎どもの最たるものだ。
あれと我が妃を同列に語るなど、くだらん輩もいたものだな。」
ふと鋭い眼差しが柔和になる。
「私の愛しい兎が妖でなどあるはずがない。」

ああ、そうですか。

そう言って適当に流してしまいたいが、側近としては現状を報告する義務がある。
「一度後宮を去ったにも関わらず、このような寵愛ぶりです。
あの冷酷非情の狼を此処まで籠絡するその手管は、まるで妖術の類だ……と吹聴する輩がいるようですね。」
「それは興味深い話だな。」
不快な話であろうはずが、なぜか陛下は満足げに笑う。
そして堂々と、得意気に言い放ったのだ。
「それではまるで我が妃が、傾国の美姫に変じ時の為政者に取り入るという
、九尾の妖狐のようではないか。」

けいこくのびき。

私の耳が疲労のあまり腐っていなければ、陛下は今『傾国の美姫』と仰られたらしい。
「正気ですか?」
思わず真顔で問いかける。
「さすがにそれは酷くないか?李順。僕は正気だよ。」
陛下も真顔でそう言うが。
どこがどう正気だというのだろう。
アレがそう見えている時点で、私から言わせてもらえばもはや狂気の沙汰です。

恐ろしい……
これが世にいう新婚ボケ。
常に冷静沈着な陛下の判断力をここまで低下させるとは。

今もひたすら
「でもなー、夕鈴はやっぱり兎だな。元気に飛び回って柔らかくて可愛くて。
九尾の兎ってどうなんだろうな。」
と、くだらないことを真剣に聞いてくる。
そんなもん気持ち悪いだけでしょうが。
だが臣たるもの、思ったままを口には出せない。
仕方ないので、やんわり現実を申し上げることにした。

「お妃様が妖の類だとするならばーーー
せいぜい『妖怪まんじゅううさぎ』あたりが妥当ではないですか。」

ぽかんとした陛下は、私の顔を見つつオウム返しに問いかける。
「……妖怪『まんじゅううさぎ』?」
「はい。『まんじゅううさぎ』です。」
一切の迷いなく切り返すと、陛下は真剣な顔をして考え込んだ。
少しは現実を見る気が出たのだろうか。
それならば側近として、非常に喜ばしいことなのだが。


しばしの沈黙の後、陛下は顔を抑えて呻くように私の名を呼んだ。
「李順……っ」

嗚呼。
もういいです。何も言わなくて。
本気で馬鹿馬鹿しい。
幻の狼耳が見えてますよ、陛下。
どうせ、ああ可愛い今すぐ会いたいすぐ食べたいとか、考えたんでしょうよ。
「……まんじゅうの妖怪を召し上がりたいなら、一刻も早く手を動かして下さい。」
さすがにもう、胃がもたれそうだ。
私はさっさと落款の捺された書類を持ってその場を立ち去った。

美姫か否かはさておき、夕鈴殿を『傾国の妃』にするわけにはいかないのだ。
ただ一人しか妃を娶らないと言うのならば、お二人にはその自覚を持って臨んでいただかねば。
より厳しく、より綿密に。
出自などに言及する者どもの誹りを受けぬよう。
彼女にはそれこそ血を吐くような思いで励んでもらわねばならない。
そしてそれを夫たる陛下ご自身が支えて差し上げねば。
新婚だなんだと浮かれてる場合ではないんですよ、本当にもう。


結局陛下はみるみるうちに書類の山を平らげて、なんとか日付の変わる前に後宮へと戻られた。
この執念は見上げたものだ。
陛下の事務仕事の効率がかなり良くなったのは、やはり夕鈴殿の功績。
守るものがあれば男は強くなるとはよく言ったもの。
いつか、私にも陛下以外に命を懸けたいと思うものが出来るでしょうかね。

そんなことを考えながら書簡を見直していると、一枚だけ落款の捺されていないものが紛れていた。
まだ夕鈴殿の部屋に行かれたばかり。
これ一枚ならさくっと頂けるだろう。

後宮の回廊を歩いていると、妃付きの侍女が歩いてきた。
「李順様、お疲れさまでございます。」
白い頬をうっすらと赤らめてこちらを見やる視線に少なからずの好意を感じつつも、あくまで事務的に微笑む。
「貴女こそ、遅くまでお疲れさまです。
して、陛下は?」
「もうお妃さまのお部屋にいらしておられます。
その―――すぐに人払いをなさって。」
さっそくまんじゅうの妖怪と仲良くする気ですね。
そうとなればすぐにでも書簡に目を通して頂かねば……
「ありが―――」
「ぎゃああああああああああああ!!!」
礼を言いかけた私の声にかぶるように、色気のない悲鳴が響き渡った。



ああ、もう。
本当にどいつもこいつも。いい加減になさい。
まだ部屋に入ってすぐですよ。
あんな悲鳴を上げる妃も妃ですが、陛下も陛下です。
もう少し、日中の勉強の成果をねぎらうとか出来ないものでしょうかねぇ……

いいでしょう。
明日はさらなる教育課程と書簡の山を用意して差し上げましょう。
私の唯一の主である、国王夫妻お二人の為に。



5.jpg


後記。
ピクシブの方にこれのマンガをアップする予定です。(リンクご参照。)
ページ行き過ぎて、こちらのブログだと見づらいんで…
R-18指定になっているので、無料or有料の会員さんだと見られます。

もしご要望あればこちらにもアップしますので仰ってくださいませ。
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コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-09-23 Wed 09:40 | | [ 編集 ]
行ってきた、読んできた♪李順さん、さすがです(笑)ブレないアナタが好み(*^▽^*)足蹴にされたい←ヘンタイ!!
2015-09-23 Wed 17:38 | URL | 行 [ 編集 ]
いや。。。もうつぼにはまって大爆笑いたしました、。
あやうくPCの画面にアイスコーヒーを吹っ掛けるところでした。

ではあちらにも行ってまいりま~す
2015-09-23 Wed 23:18 | URL | くみ [ 編集 ]
あい様。
結局陛下は夕鈴の全てがツボでムラっと来てしまうんじゃないかと(笑)
李順さんの毒舌がたくさん書けて満足しました。
絵でもSSでも李順さんと蘭瑶様はなんだか書きやすいです。
一番苦手なのはダントツで陛下です…
陛下好きなのに(T_T)

私も本誌の陛下を確認すると数日は完全ROM専と化します!
なんか自分、違ったなーって(笑)
2015-09-24 Thu 18:32 | URL | rejea [ 編集 ]
行様。
あちらも見ていただいてありがとうございます(≧∀≦)
あれを描いてる時ずーっと頭の中で
『李順さんには詰られたいが、克右のことは詰りたい』
というキャッチコピー?がぐるぐるしてました。

李順さんになら冷たく微笑まれながら
「どうしようもない雌豚ですね」
って言われてもいい気がします←私もヘンタイ
2015-09-24 Thu 18:39 | URL | rejea [ 編集 ]
くみ様。
アイスコーヒー危険ッ(゚Д゚;)
でもそんなにツボって頂けて嬉しい~~!!

先にマンガを描き始めたので、小説の方が李順さんのツッコミが鋭いです(当社比)
なんというか、小説の方がさくさく書けると悟りました…
2015-09-24 Thu 18:47 | URL | rejea [ 編集 ]

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