星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

狼な嫁と兎な陛下 3

迷惑入れ替わりシリーズ第三段です。
色気はないのに下世話な展開です。
いや、入れ替わったら、着替えよりもお風呂よりも乙女にとっての大問題が発生するじゃないですか……

これは少女マンガ二次だというのに、LaLaの次に週刊ヤングジャンプ(青年誌)ばっか愛読してるrejeaが書くのが悪いんだっ!






『夕鈴』はしばらく『黎翔』の胸にすっぽりと埋まっていたが、しばらくそうしているうちに恥じらうようにもじもじと身を揉みだした。
「陛下?どうかなさいました?」
胸の中の『夕鈴』を覗き込むように、『黎翔』は尋ねる。
すると顔を幾らか赤くした『夕鈴』が、申し訳なさそうに顔を上げた。
「あの、ね、夕鈴。
……僕も出来るだけ水分控えたり、冷やさないようにしたり気を遣っていはいたんだけど……
その……お手洗い行ってもいいかな?」


お手洗い。


一瞬後に『黎翔』の悲鳴が響き渡った。
「どうしたんだよ、『陛下』……じゃなかった、お妃ちゃん。」
浩大が悲鳴を聞きつけ、天井裏からするりと降りてきた。
「だっ、だって!!陛下が『私』の体でお手洗いに行きたいなんて言うからっ……」
「あー……まぁ、入れ替わってりゃそうなるよネ。」
「ごめんね夕鈴。
できるだけ我慢してたんだけど、でも君の健康を損なうのも嫌だし……
大丈夫、見ない!絶対見ないから!!」
「う、う、う……だって音がっ……」
「ああっ泣かないで夕鈴っ!!耳栓でもなんでもするからっ!
浩大!まずは目隠しになる布を持って来い!」 
「……へーい。」
騒ぐ夫婦に浩大は白い絹の布を渡してやった。
こんなこともあろうかと胸元に忍ばせていたあたり、我ながらオレって優秀だなあと一人悦に入ったのだが。
「ほら、夕鈴。これで何も見えないから。
もう大丈夫だよ!」
「ほ、本当ですか?じゃあ、私が手を引いてお手洗いまでお連れしたら耳栓してもらえます?」
「もちろん君の望むようにするよ。」
少しだけ持ち直した様子の『黎翔』だが、浩大は後の二人の為に敢えて厳しい現実を口にしようと心に決めた。
実際に目の当たりにすると、これは相当な違和感がある。
(目隠しして連れ立って手洗いって、無いよなぁ……)
恥ずかしがり屋の夕鈴は、後々世間の見る目を知ったら部屋から出てこなくなるかもしれない。
「あのさ、お妃ちゃん……布渡しといて何だけどサ。
それじゃあまるでただのヤバい夫婦だよ?なんていうか、特殊な好みっぽいっつーか。
目隠ししてたら、お妃ちゃんが陛下の服めくってやったりしなきゃいけないんだろーから、普通に行かせた方が良いと思うけど。」
「とっ、特殊な好み!?」
「目隠しした『お妃ちゃん』と、服めくるの手伝ってる『陛下』が一緒に手洗いに行ってるところ想像してみ?」

どうやら現実に気付いたらしい『黎翔』はがっくりと膝から崩れ落ちた。
「じゃあ、私どうしたらいいのよーーー!」
本気で泣き出した『黎翔』を前に『夕鈴』は慌てることしか出来ない。
「ああっ、夕鈴!ご、ごめん、なんとか、もうちょっと我慢するからっ。
そんなに泣かないで?」
「もうイヤーーー!知らないっ!」
「死ぬ訳じゃないんだから、ちょっとだけ我慢してやれば?
狼に噛まれたとでも思って。」
「狼に噛まれたら普通に死ぬわよっ!恥ずかしくて憤死するわっ!」
説得も全く役にたたず、仕方なく浩大はさらなる現実を突き付けることにした。
「そんなこと言ってさ、お妃ちゃん自分が用足したくなったらどーすんだよ。
……やり方分かる?」
浩大の冷静な突っ込みに、夫婦は真っ青になって固まった。
「……あの、僕は気にしないからね?」
おそるおそる声をかける『夕鈴』に、もはや『黎翔』は返事すら出来ないほど打ちひしがれていた。


「なんじゃ、騒がしいのう。」
そこへ数冊の本やら巻物を持った張元がやってきた。
「どうせ掃除娘が手洗いやらでごねとるんじゃろ。
思った通りじゃの。」
呆れたようにふんっと鼻を鳴らしてから、文机の上にドサドサと書物を下ろす。
「後宮の物は丸ごと全て陛下の物。
お主の体もまるっと陛下の物なんじゃから、妃なら覚悟を決めんか。」
「変な言い方しないで下さいっ!私はバイトですってば!」
「原因は分かったのか、張元。事は急を要する。」
揃ってこちらを睨む夫婦を面白そうに眺めてから、張元は重々しく頷いた。
「離魂病の一種でしょうな。」 
「りこんびょう、って何ですか?」
首を傾げる『黎翔』に、『夕鈴』が答えた。
「確か、体から魂が抜け出て、自分そっくりのもう一人の自分が現れる病気……だったかな。
ただ、私と夕鈴の場合とは違う。体が入れ替わるなど聞いたことがないぞ。」
「そこがお二人の面白いところで。
陛下はご存じじゃろうが、人の生命は魂魄(こんぱく)によって成り立っておる。
魂(こん)は精神を、魄(はく)は肉体をそれぞれ司ると考えられておっての。
人が死すれば魂は天へと昇じ、魄は地へ還る。
これ則ち陽と陰。万物を巡る大いなる理(ことわり)に、我等人もまた組みこまれとるということじゃな。
……掃除娘、ついてきとるか?」
「なんとなく……こんっていうのと、はくっていうのが私の体の中にあるってことですよね?」
困惑顔の『黎翔』に向かって、巻物をびらびらと広げて満足そうに滔々と語る張元に、『夕鈴』は冷たい視線を送る。
「能書きはいい。
つまり、何が言いたい。」
「せっかく色々参考になる書物を持ってきたんですがの。まぁ、お望みとあらばてっとり早く行きましょうかの。
つまり、陛下と掃除娘は、どうも魂と魄の結び付きが弱まってしもうたんじゃ。
何かよっっっぽど、心惹かれることでもあったのかのう~?
それこそ体から魂が迷い出る程にの。
まあ、何とは聞かんけどのぉ~~~。」
にやついた顔で張元が放った言葉に、図星を指された二人はぎくりと固まった。

(それって要するに、私が陛下のこと好きすぎて……)
(余りにも夕鈴と離れがたいと思ったから……)
お互いの魂がお互いの体に吸い寄せられてしまったということか。

浩大も張元もあからさまに真っ赤になった『黎翔』と、頬の赤さを隠すように口許に手をやる『夕鈴』を生暖かく見守った。
「じゃあ、結局どーすりゃ戻るの、じーちゃん?」
黙ってしまった二人の代わりに浩大が問うと、張元はこともなげに言った。
「状況を再現しながら、心から戻りたいと願えば良いんじゃなかろうかの。
それで駄目なら接吻でも伽でも何でも試すしかなかろう!
いや、ワシとしてもな?初めての閨からいきなり男女入れ替わってというのはいささか掃除娘には荷が重いかなーとは思っておっての。未経験者にはちと酷じゃろ?
陛下にしてもこのまま元に戻らず入浴の時にうっかり掃除娘の裸を目にしてしまったら、いざ本番の時の感動が薄れてしまうしの。
それじゃぁ、さすがに掃除娘が憐れじゃしなぁ。」

国王夫妻はカラカラと笑う張元と、ついでに浩大を部屋から追い出した。



「……わっ、私たちの夫婦演技も遂にここまできましたねっ!陛下!」
「……そうだね、夕鈴。日々研鑽を積んだ甲斐があったね。」
「入れ替わっちゃうだなんて、もはや達人レベルですよ。うん。
陛下にもっとご飯食べて欲しいって思ってたからですかねっ!?」
「……僕も夕鈴に秋の味覚食べさせたいなぁって思ってたところだったんだ。」
誤魔化せたと信じたい二人は、互いに話を合わせた。
因みにお互いに自分のことに精一杯で、相手の思惑にまでは考えが及んでいないらしい。

少しの沈黙の後、『黎翔』は目に涙を溜めて『夕鈴』を見つめた。
「あの、陛下……私今、心から元に戻りたいです。
やっぱり、あ、あの、このままでは恥ずかしくて……
ですから、もう一度、その……」
真っ赤な顔をして抱擁をねだる『黎翔』に、『夕鈴』はふっと微笑んだ。
(どうせなら、元の姿で甘えてくれる君が見たかったな……)
「君が望むならもちろん。さぁおいで、夕鈴。」
『夕鈴』は両手を広げて『黎翔』を迎え入れた。
入れ替わった時と同じ様な浮遊感が身を包む。
黎翔は自分の意識が『夕鈴』の体から抜け出て行くのをぼんやりと感じた。
少しだけ名残惜しくて、離れていくだろう『夕鈴』の体に、指先だけでそっと触れた。
華奢で、柔らかく、温かい。
(元に戻ったら、もっとたくさん抱きしめたいな。)
遠のく意識に身を委ね、二人は抱き締め合ったまま床に崩れ落ちた。



後記。
「離魂病」はドッペルゲンガーのことです。中国とか、昔の日本での呼び方みたいです。
「魂魄」のくだりは中国の「道教」とか「易学」の考え方なんですけど、なにぶんドシロウトが思いつきで書くものですので。
詳しいことは分かんないです。←オイ
そもそも白陽国に陰陽思想なんてないと思う…
気になった方は「魂魄」「鬼神論」あたりをれっつ検索☆
ちなみに魂が入れ替わるなんてどこにも書いてません!!

実家の母の愛読マンガ、「陰陽師」で得た知識が10年後こんな所で役に立つとは……

関連記事
スポンサーサイト
狼な嫁と兎な陛下※臨時妃設定 | コメント:4 |
<<狼な嫁と兎な陛下 4 | ホーム | 狼な嫁と兎な陛下 2>>

コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-08-01 Sat 09:27 | | [ 編集 ]
あい様。
本誌の陛下の我慢強さに心打たれて、汚れた自分は反省しました(笑)
やっぱ、目隠ししてもお手洗いは駄目だよね、と……
なんであんなに頑張れるのか、21歳!!

pixivに我慢出来てない陛下らくがき上げたくて描きだしました。
しかし5000が間近に迫ってるので御礼イラストも描きたい…
阿修羅像みたいに顔3つ、腕6本ならよかったのになーと思います。
(あと一つは家事担当)
ちなみに繁忙期も会社で「阿修羅になりてぇ……!」って思って顔だけ阿修羅みたいになってます。
2015-08-02 Sun 18:14 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-08-02 Sun 18:40 | | [ 編集 ]
あい様。
こっくー頑張れ!浩大に負けるな!!
病み気味エロ陛下、いつか読めたら嬉しいです。
「病み気味エロ」ってすごい響き(うっとり)

あ、夜更けに狼っぽい陛下献上しときました~。
SSが全然思いつかなくて現実逃避したらできあがってました……
私の脳はもはや枯れたんでしょうか(T_T)/~~~
2015-08-03 Mon 02:00 | URL | rejea [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。