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狼陛下の花嫁SS・イラストなど

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狼な嫁と兎な陛下 1

臨時妃の時の二人もじれったくて好きです。

よくあるネタですがやってみました。入れ替わり。
けど、これどう考えてもマンガの方が楽しいだろう…描けないけど…
文章でって無理~~~
と思いつつ書いちゃう身の程知らずrejeaです!
時期的にコミックス9~10巻の間くらい。
壬州へ行く前の秋の1日です。

読みにくいことこの上ない話ですが、もしよろしければご覧ください。
『』の中に書いてある名前は見た目、ということでお願いします。





もうすぐ彼女を手放さなければ。

後宮に吹き込む風にふと肌寒さを覚える秋の午後。
黎翔は一人回廊を歩きながら来る離別の時を想って暗い目をして歩んでいた。

陰謀術数渦巻くこの世界に、夕鈴は似合わない。
彼女にはいつも温かな陽だまりの中で笑っていて欲しい。
頭では自分がその為にどうするべきか分かっているのに、どうしても身体は言うことを聞かない。
離れるべきだと思っているのに、指先はいつも彼女を求め、その柔らかな髪に、頬に、吸い寄せられるように触れてしまう。
困ったように顔を赤くしている夕鈴は、最近前よりも黎翔の事を拒まなくなった。
その包み込むような優しさにずるずるとすがって、今日までの日々を送って来た。

このままではいけない。
いい加減に自分の心を決めなければ、夕鈴の事を手放せなくなる。

深い溜息は澄んだ秋の空へ吸い込まれ、消えてゆく。
黎翔は高い空を見上げ、どこまでも明るい日差しに切なげに眉を顰めた。


「陛下?どうかなさいましたか?」
茶器を手にした夕鈴は、長椅子に座る黎翔の顔を覗き込むようにして問いかけた。
(―――また、何か独りきりで考えているのね。)
いつもそうだ。
この人はなにも教えてくれない。
独りで悩んで、独りで歩いて。
動けないでいる自分を置き去りにする。
これはきっと、踏み込んではいけない領域のことなのだ。
分かっている。
自分がただの雇われた臨時の妃であることなど。

それでも、この困った夫を放っておくことなど夕鈴には出来なかった。
腰をかがめて黎翔の少し痩せたように見える頬にそっと手を添える。
頬に触れた温かさに、遠くを見つめていたような紅い瞳が夕鈴の顔を映した。
「あ、ごめんね夕鈴。ちょっと考え事しちゃった。」
黎翔の大きな手が、頬に添えられた夕鈴の華奢な手を包み込む。
「君を前にして余所事などと……私は夫失格だな。
済まない。我が最愛の妃よ。
君と二人きりのこの時、一瞬でも無駄にするべきではないな。
さぁ、存分に君のその可愛らしさを愛でさせてくれ。
私だけの妃よ―――」
唇に夕鈴の手を押しあてて、黎翔は囁いた。
温かい吐息が直接手の甲に触れて、夕鈴はびくりとすくんだ。
「も、もう!いきなり狼演技は止めて下さい!!」
「えー?だって夫婦演技向上の為、でしょ?」
にこにことこちらを見上げる黎翔に、夕鈴は溜息を吐いた。
(もう、いっつもこうして誤魔化そうとするんだから―――)

「へいか。お悩みの中身については何も聞きません。
けど、私に無理することなんてないんですよ。
元気なふりも要らないです。
……でも、ちゃんとご飯は召し上がってください。」
じっと顔を見詰めた後、夕鈴は不意にしゃがみ込んで柔らかく黎翔を包んだ。
ぽんぽんと子どもをあやすように背中を優しく叩いてくれる夕鈴。
髪から香る仄かな花の薫りと、背中に伝わる手のひらの暖かな熱。
「……うん。ありがとう、夕鈴。」
黎翔はそっと夕鈴の背中に腕を回した。

(……本当に僕は、君を手放すことなんて出来るんだろうか。)
包み込むような仄かな薫りと優しさが、この細くしなやかな身体が、いつか自分以外の男に与えられるのだろうか。
考えたくない。そんな未来など。
だが、彼女を手放すということはつまりはそういう未来を受け入れるということだ。
国王の位が何だと言うのだろう。
たった一人の少女のことを幸せにすることすら出来ない我が身は、何の為に此処に在るのだろう。
望めばなんでも手に入る立場だというなら、今すぐ彼女を手に入れるだけの自由を与えて欲しい。
それ以外に望みなど無いのだから。
黎翔は縋りつきたい気持ちを隠して夕鈴をそっと抱きしめた。

黎翔から立ち上る、彼の匂い。
不思議と馴染んでしまったそれに包まれて、夕鈴は広い胸へ体を預けた。
(いつまでもこうして包まれていられたらいいのに……)
それでも、自分は仮初めの妃。
彼の『本物』には決してなれはしない。
この腕も、囁かれる甘く低い声も、広い胸や背中も、そしてどこか懐かしいような、それでいて胸を激しく掻き乱す香りも。
いくら馴染んでいたとしても、隣に立てない自分の物ではない。
いつか、ここに来るであろう、彼に並び立つに相応しい『本物』の誰かの物だ。
ずきりと、刺すように胸が痛んだ。


ああ、自分はこんなにもこの人を好きになってしまった。
こんな思いを抱いていい人ではないのに。

偽物の夫婦の気持ちは、二人には分からないものの、全く同じだった。

もっと側に居たい。
離れたくない。

胸を締め付けるような想いが溢れたその瞬間、二人の視界がぐらりと歪んだ。
足元の感覚がなくなり、急に空に投げ出されたかのような感覚が湧く。
眩む頭。二人は意識を手放し、重なり合うように長椅子へと倒れ込んだ。



休憩時間が終わっても帰ってこない主に呆れつつ、李順は後宮の妃の部屋の前へとやってきた。
「陛下、そろそろ政務のお時間です。王宮へお戻り下さい。」
何度呼びかけても何の反応も無く、仕方なく李順は夕鈴の部屋へと足を踏み入れた。
「失礼致します。陛下、夕鈴殿、いらっしゃいますか。」
入ってすぐ、突き当たりの長椅子に寄り添うように横になっている二人が目に入る。
(これは……寝ているのか?
全く、これではまるで本物の夫婦ではないですか。)
はあ、と息を吐き出し眉間を押さえ、李順は近づきつつ再度声を掛けた。
「陛下、政務のお時間です。お目覚めください。」

李順の声に先に身じろいだのは『夕鈴』だった。
「う、うぅん……なんだか頭が痛い……」
額に手を充ててふるふると頭を振りながら起き上がった『夕鈴』は、李順を見て言った。
「政務の時間か。少しくらい多めに見ろ、李順。」
李順はぱちぱちと目を瞬いた。
夕鈴は粗忽なところはあるものの真面目で礼儀正しい娘だ。
上司である李順に横柄な態度をとったことなどただの一度も無かったのだが。
「ゆ、夕鈴殿?」
「だから夕鈴なら隣で寝ているだろう。」
「一体何の悪ふざけですか。それとも陛下に何か唆されでもしましたか?
とにかくもう仕事に戻って頂かなくてはなりませんので、陛下を起こして差し上げて下さい。」
「だからもう起きてるだろう。そう言えば先程の壬州の治水工事の件だがな。一度私自ら視察に行った方が良いだろう。
……どうした、何をおかしな顔をしているんだ?」
李順は目を見開いた。
何かとんでも無いことが起きているかもしれない。
立て膝をして普段よりも冷ややかなある種の艶を感じさせる視線を寄越す『夕鈴』を、恐る恐る見詰めつつ、李順は問い掛けた。
「貴方は、夕鈴殿……ですよね?」
「だから、夕鈴はここに……って、どうして私がここで寝ているんだ?」
『夕鈴』は横になったままの『黎翔』を呆然と見詰めた。 
「そう言えば声も高いし、手も、指も……あ、胸がある……
この手といい、胸といい、衣装といい、すっごく見覚えがあるんだが。」
自らの体を矯めつ眇めつ見詰める『夕鈴』を、李順はぶるぶる震える指先で支えた眼鏡越しに確認し、なんとか口を開いた。
「……もしや、陛下でいらっしゃいますか?」
「中身は。外見は夕鈴だよね。
なら多分、私の中身が夕鈴なのではないかな。」
明るい亜麻色の髪を指先で弄びながら、なぜか少し嬉しげな顔をした『夕鈴(陛下)』をキッと睨んで、李順は声を張り上げた。
「浩大っ!!そこらへんに居るんでしょうっ!?状況を説明なさい!!」
李順の張り上げた声に、横になっていた『黎翔』も呻きながらふらふらと上体を起こした。
「……あれ?李順さんがいる……ごめんなさい、急に目眩がして。
あれ、なんか私、声低い??」
夕鈴は自分の声がいつもよりかなり低くなっていることに戸惑った。
なんだか体の感覚がおかしい。
それに何故か李順は青ざめた顔をしてこちらを見ている。
ふと視線を感じて隣に目をやると、何故かにこにこ顔の自分が見える。
「こんなとこに鏡なんてあったっけ?」
しかもちっとも面白い気分ではないのに、何故鏡の中の自分は笑っているのだろう。
不思議に思って手を伸ばすと、鏡の中の自分もこちらに手を伸ばす。
手と手が合わさったところで、予想もしていなかったが指を絡められた。
呆然とする夕鈴に向かって、『夕鈴』は実に色っぽい表情で微笑んだ。
「おはよう夕鈴。僕が誰だか分かる?」
この、自分では決してあり得ない色っぽい視線。そして囁くような甘い喋り方。
「……へーか?」
「当たり!さすが、僕のお嫁さんだねっ。」
尻尾が見えそうな程嬉しげな自分の顔に、夕鈴はどことなく黎翔の面影を見た。
「え?なに?夢?」
自分のほっぺたを摘まむと、予想外の強さに思わず悲鳴を上げる。
「いったあああ!え?なになに、何で?何で私こんなに力強いの!?」
涙を浮かべて頬を押さえていると、浩大が姿を現した。
「どしたの李順サン。何かあったの?
あ、二人とも起きたんだ。」
「呑気なことを言っている場合ですか!一体ここで何が起きたんです!?」
キリキリと張り詰めた李順の様子に浩大は面食らった。
「何って、昼寝してたみたいだからちょっと寝かせといてやろっかなーと思って……
て、どしたのへーか?顔赤くなってっけど。」
「何で私の方見て陛下って言うのよ?浩大。」
『黎翔』の口から飛び出た女言葉に、浩大は悪いものでも飲み込んだような顔をした。
「何ソレ、お妃ちゃんの真似?」
『黎翔』は不服そうに口を尖らした。
「だから、お妃ちゃんは私でしょう?」
「いやーこの悪ふざけは気味悪いなオレ。いい加減にしないとお妃ちゃんに怒られるんじゃね?」
だが当の『夕鈴』はというと、楽しげにと二人の会話を聞いているだけだ。

李順は深く深く、溜息をついた。
「浩大も預かり知らぬ事態のようですね……
夕鈴殿、気を確かに鏡を見てご覧なさい。」
懐からさっと手鏡を取り出した李順は、『黎翔』の顔の前にそっと差し出した。
「李順さんさすがの女子力ですねー。手鏡携帯してるんだ……
って、なんで陛下が映ってるんですか?」
顔を傾げて手鏡を覗き込む『黎翔』を目を剥いて見詰めた浩大はぎぎっと、強張った顔を李順へ向けた。
「え。何これ、マジ??」
「はい。信じたくありませんが大マジです。
……国家存亡の危機かもしれませんね。」

固まる二人を気にも留めず、『夕鈴』はにっこり笑って『黎翔』の手を取った。
「ゆーりん、どうやら僕たち体が入れ替わっちゃったらしいよ。」
「は?」
あまりに目を丸くする『黎翔』を見て、『夕鈴』は堪えきれずに笑い出す。
「ははっ。見た目は確かに僕だけど、その表情、やっぱり夕鈴だなぁ。」
おいで、と『黎翔』の手を取って姿見の前へと誘う『夕鈴』。
鏡の中にはいつも通り、二人の姿が映っているのだが。
(あれ?……左右逆?私がこっちで、陛下があっちになるはずよね??)
「夕鈴、右手を上げてご覧。」
「はい。」
手を上に動かすと、鏡の中の『陛下』もすっと手を上げる。
「……ウソでしょう?」
自分の頬に手をやると、鏡の中の『陛下』も頬に手を添える。
その表情は落ち着きが無くて真っ青で、いつもの陛下ではあり得ない。
この表情は寧ろ。
「わ、私……!?」
『黎翔』の姿の夕鈴は、鏡の前で床にへたり込んだ。
「な、なんでこんなことに……」
その隣にちょこんとしゃがんだ『夕鈴』は、うきうきと言った。 
「不思議だよねぇ。どうして体が入れ替わったのかな。
でもなんだか面白いと思わない?」


面白いわけあるか。
そう叫ぶ気力もなく、『黎翔』はただただ呆然と床に乙女座りでへたり込んでいた。



後記。
疲れる文章でごめんなさい!
後半は『』が見た目で、何もついてないで名前が書いてある部分は心(中身)と分けたものの、わかりづらいですね…

らくがきでイメージしやすくなるといいんですが…

狼な嫁と兎な陛下
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狼な嫁と兎な陛下※臨時妃設定 | コメント:6 |
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コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-07-23 Thu 06:45 | | [ 編集 ]
どうしましょ、ね(笑)
これで夕鈴の男前度がさらにアーップ。って中身は陛下だけど。
いやもう、ありきたりですが、湯殿。どうするんでしょね。
陛下は喜びそうだ!
2015-07-23 Thu 13:01 | URL | くみ [ 編集 ]
狼な嫁は誤魔化せそうだけど…兎な陛下はかな~りピンチな展開…(笑)。狼嫁は調子こいて胸とか腰とか臀部を撫で回して兎陛下に手を縛られたり(爆)←どこに向かうのか!?
本っっ当に湯殿や着替えをどうやって行うのか妄想が尽きません!!
私的には目隠し捕縛プレ…ゲフンゲフン(笑)
2015-07-23 Thu 14:12 | URL | 行 [ 編集 ]
あい様。
臨時!!臨時妃ですわっ(笑)
長椅子でおっぱじまったら即成婚!!←それはそれで面白い(*´ω `*)

攻めるお妃さまが書きたくて仕方なくて、考えたらこうなってしまいました。
『陛下』はあんまり違和感ないですね。
かわいらしい小犬みたいで。
お色気妃目指して頑張ります!
2015-07-25 Sat 01:22 | URL | rejea [ 編集 ]
くみ様。
私ったら湯殿の前で発想が止まっておりまして。

…お手洗いってどうしたらいいでしょうね(^o^)丿
自然現象に夕鈴はどうやって立ち向かうのでしょうか。
嫁入り前なのに無事に用をたせるのかどうか(笑)
2015-07-25 Sat 01:27 | URL | rejea [ 編集 ]
行様。
私的にも目隠しは必須であると考えております!!
傍から見てたらただのプレ…げふげふんっ!
的な内容になるかならないか。ちょっとはそうしたいのですが。

一応臨時なのでお妃さまの貞操は守りぬきます(笑)
2015-07-25 Sat 01:32 | URL | rejea [ 編集 ]

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