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簪の贈り物 2

蘭瑤様メイン「簪の贈り物」の陛下・夕鈴サイドのお話です。


72話は読まれましたか?最高でしたね!
四半期末でフラフラしながら発売日にスーパーで購入した私。
殺伐とした心が癒されました。
かわいすぎる。
いや、狼陛下はかっこよかったですけど何より夕鈴がかわいくて。
浩大もかっこよかったし、本当に最高です。

えーと……
甘々の新婚編を読んだ後でもご夫婦のケンカ話をアップする私をお許し下さい(T_T)
タイミング悪くてすみません。
それでは、毒花に翻弄されるご夫婦をニラニラ見守ってくださる方はどうぞ。





その夜、妃の部屋を訪れた黎翔は、そっけない妃の態度にまたしても嫉妬の炎を燃やしていた。
夕鈴の髪には、普段は挿さない玉石で出来た簪が輝いている。
以前自分が贈ろうとした時は、要らないとか勿体ないとかそんな事を言って受け取ってくれなかったのに。
さり気ない金細工が施された簪はどう見ても夕鈴の好みに合わせたものなのだろう。

(晏流公め。さすがは我が弟。
この花の美しさをよく分かってこその意匠だ。
だが、兄の私を差し置いて妃に簪を贈るとは。
しかもこの玉石は柘榴石。
柘榴石が意味するものは、確か『真実の愛』であったはず。
これは看過できないというものだ。)

「夕鈴。君は何故怒っている?昼間もさっさと王宮へ戻れだなどと冷たいことを言っていたが、私が何かしただろうか。」
むしろ怒りたいのはこちらの方だ。
黎翔は鋭く輝く狼のような目で妃を見据えた。
その視線に、一瞬ぐっと唇を噛みしめた夕鈴はそれでも逃げずに立ち向かう。
「……陛下は、私がこの簪を挿すのがお気に召さないようですね。」
気に入るはずがない。
愛する妃が、まだ子供とはいえ他の男に贈られた『真実の愛』を表す簪を挿しているのだから。
「分かってくれているなら、なぜ外さない?それともまた私の手で外されるのを待っているのか。
……随分と従順な兎だな。」
黎翔はふっといじわるく笑うと腕に力を込めて、夕鈴の細い腰を引き寄せた。
びくりと竦む夕鈴の体。

(―――この柔らかな肌も、その艶やかな髪も、燃えあがるような美しい瞳も、君の全てがこの私のものであるというのに。
どれだけ私が君を想っているか、あんなに躯を重ねても君はまだ分からないのか。)

腕の中に夕鈴を捉えていても心は満たされず、苛立ちが黎翔の全身を包む。
「―――それなら我が妃の望み通りにするとしようか。」
からかうように夕鈴を見下ろした黎翔は、じりじりと焦げ付くような嫉妬の促すままに柘榴石の簪へと手を伸ばした。

だが、簪を抜き取ろうとしたその瞬間、黎翔はそのままの姿勢で固まった。
夕鈴が大きな瞳からぼろぼろと涙を流して、正面から自分を睨んでいたからだ。
「夕鈴……」
「先日もそうでしたね。瑠霞姫と蘭瑤様が二人で衣装を選んで下さった時も。
……でも、今回は許せません。」
黎翔もざわつく感情を抑えられず、低い声で最愛の妻に応えた。
「君は……そんなに晏流公からもらった簪が大切か。私からは受け取りもしなかったものを。」
「大切です。私はこれを外す気はありません。
……いくら私に色気がなくて似合ってなくても、絶対に外させたりしません!」
その言葉に、自分を拒絶する夕鈴の瞳に、もう一度嫉妬の炎が燃え上がり黎翔の胸を焼く。
「いや、似合っていないなどと言っていない。
私以外の者が選んだにも関わらず、そのように大切に挿していることが許せないだけだ。」
再び簪に手を伸ばす黎翔の腕を、夕鈴はぱしりと叩いた。
「陛下の、バカっ!!!」
叫び様に両手で思い切り黎翔を突き飛ばす。
「晏流公がこれを下さった時、何て仰ったか分かりますか!?
この柘榴石は陛下の瞳に似ているから、陛下が忙しくてもこれが傍にあれば寂しくないでしょうって……
そう言って私に下さったんです!!
意匠も派手にならないようにって考えてくれて、古くなった所はご自分でわざわざ磨いてくれて……
その優しい気持ちを踏みにじるなら、例え陛下でも許せません!!」
予想外の言葉に黎翔は戸惑った。
「え……『真実の愛』っていうことなんじゃ……」
「何わけわからないこと言ってるんですか!
もう、出てって下さい!!頭が痛いので先に休ませて頂きますからっ。」
「いや、待ってゆうりんっ……」
「あーもう、しつこーーーーーーーいっ!!
出てってったら、出てって下さい!!!!」

本当の夫婦になってから初めて、黎翔は妃の閨から締め出された。


誰も居ない政務室で書簡の整理を行っていた李順は、主が蕭然と戻ってきた姿を見てげんなりした。
昼間、妃の様子をこっそり抜け出して見に行ったと思えば、案外すぐに戻ってきた黎翔がその身に纏う空気は、春の野分どころか完全に真冬の猛吹雪だった。
きっと何かあったのだろうと苦々しく思っていたら、またしても妃の部屋で何か起こったらしい。
明日の政務の進み具合もこれでは当然期待出来そうにない。
「陛下、どうされたのですか。」
「……夕鈴に、追い返された。」
がっくりと項垂れた主の言葉に、李順はやれやれといった顔をした。
「そうですか。臨時妃の時から割とちょくちょくそんなこともあったような気がしますが。
夕鈴殿のことですから、しばらくすればケロッとしてるんじゃないですか?」
「いや……今回は、まずい気がする。」
机に突っ伏して顔も上げずにいる主をさすがに怪訝な顔で見ていると、浩大が後を追うようにやってきた。
「おーい陛下。お妃ちゃんあの後泣いてたぜ?
……簪取り上げようとするなんて、イジワルし過ぎたんじゃねーの?」
「こっちも十分いじめられてる。新婚なのに、独り寝だぞ。」
ぶすっとする黎翔に、側近と隠密は顔を見合わせた。
どうも今回の喧嘩は深刻なようだ。

そこに、美しい料紙を捧げ持った王宮付きの侍女がしずしずとやってきた。
李順が受け取り中を見ると、流麗な女文字でしたためられた見事なものだ。
「この跡(て)は夕鈴殿ではないですね。
……!
これは、瑠霞姫からのようです。」
ぴくりと肩を動かす主の反応を見て、李順はとりあえず読み上げることにした。
「『陛下にはご機嫌麗しく存じます。』」
「……何が麗しく、だ。性格の悪い。誰のせいでこんな目にあったと思ってる。」
恐ろしい顔で文句を言っている主をちらりと見てから、李順は更に読み進める。
「『今日お茶を共にした際、お妃さまは大層嘆いておいででした。ご自分に色気がないと。
無礼を承知で、叔母として一言申し上げます。
愛しいご自分の妻をあんなふうに嘆かせるなど、夫として如何なものでしょうか。
お妃さまには陛下のお渡りを五日間お断りなさるようお話ししてあります。 
胸に手を当てて、ご自分がお妃さまの為に何をなさるべきかよくお考え下さいませ。
その間は私と蘭瑤様とでお妃さまのお相手をさせて頂きますので、どうぞご心配なく。』
……だそうですが。
今回の喧嘩はあのお二人が絡んでいるのですね。やっかいな……」
「色気がないって……
お妃ちゃん、あのひらひらの服着せられた夜、足腰立たないほど陛下の相手させられたんだろ?
なんで嘆く必要あるわけ?」
訝しげに問う浩大の言葉に、李順ははっとして主を見やった。
「……もしや陛下。
あの二人に見立てられたのが面白くなくて、一言も褒めていらっしゃらないとか、その上別の衣装を薦めたりなんてことは……」
うっと呻いて明後日の方を向いている黎翔に、浩大も李順も『あーあ』とでも言いたげな顔をした。
「ないわー。さすがにそれはないわー陛下。
お妃ちゃんカワイソー。相手させるだけさせといて、一言も褒めてないとか。
よっ!この冷酷非情の狼陛下!」
ちゃかした口調ではあるものの、浩大の言葉が黎翔にグサグサと突き刺さる。
「今回ばかりは陛下の肩を持つわけには参りませんね。残念ですが。」
 ちっとも残念ではなさそうに、李順も呟く。
「それは、夕鈴が、あんな色っぽい姿を他の奴に見せるから、つい……」
黎翔の言い訳にもならない言い訳を聞いているのかいないのか、隠密と側近は心底呆れたように溜息を吐いた。
「前回は自分に色気が無かったからって思って我慢したんだろうけど、今回は晏流公の優しさを陛下が無碍にしたって思ってキレたわけだ。
なんか、お妃ちゃんらしいねー。
せっかくめかし込んだのに褒めてもらえないわ、簪のせいで兄弟仲は微妙になるわ。そりゃあ泣きたくもなるよな。」
「夕鈴殿お一人ならいつもの如く強引に迫れば閨立ち入り禁止も解かれるかもしれませんが、今回はあのお二人が後ろに付いていますからね。期待したところで望み薄というものです。
五日と言ったら五日、無理なものは無理、と諦めて、この際仕事に集中して下さい陛下。」
「お前は鬼か李順!!」
さすがに顔色を変えた黎翔に、李順はあっさり答える。
「これで仕事までさぼろうものなら、夕鈴殿にますます嫌われるだけですよ。
もとはと言えば陛下の行き過ぎた嫉妬が招いたことですし……
少し距離を置いてお互いに頭を冷やすのもよろしいんじゃないですかね。」
至極真っ当な李順の言葉に、黎翔はまたも机に突っ伏して呻くことしか出来なかった。
「ま、おっかない叔母上のいうとおり、どうするべきか考えたらいいんじゃね?時間はたっぷりあるんだし。」
浩大もニヤニヤと李順に続く。
「まぁ、政務さえきちんとこなして下されば、協力できるところは致しますから。」
宥めるような李順の声は黎翔の耳に届いたかどうか。
春にしては肌寒い黎翔の独りの夜はこうして更けていった。



後記。

独り寝になっちゃいましたね、新婚さんなのに。
すみません、本当にタイミング悪くて……(T_T)

陛下、パワーストーンの意味まで知ってる博識ぶり。
昔お母様にでも教わったんでしょうかね。
「貴方とお父様の瞳によく似てるわ」とかなんとか。

ちなみに私は今回ググるまで一個も知りませんでした。
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毒花※蘭瑤・瑠霞メイン | コメント:8 |
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コメント

一番拍手get!!1日の疲れが報われた気が致しますわ( ´艸`)閨差し止めの刑(笑)悲惨な旦那様ですね~(^^;)毎日でも足りない程のお人が…夢○←オイ!!するかな…(笑)あら嫌だ、我が家に中2男子が居りますもので、ついつい思考回路がそちらに向かってしまいますわ(爆)
どこまで拗れるのか、はたまた必死に陛下が考えて言いくるめるのて…楽しみに待てしてますね~(^-^)
2015-06-28 Sun 00:14 | URL | 行 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-06-28 Sun 09:06 | | [ 編集 ]
ワハハ、最高です。
広大、的を得た突っ込み、グサグサもっとやってー。
嫁を褒めないなんて心狭すぎですよ。
独り寝、仕方ありませんな(笑)
2015-06-28 Sun 19:56 | URL | くみ [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-06-29 Mon 15:38 | | [ 編集 ]
行様。
一番拍手ありがとうございます( ´艸`)
それにしても夢…とは!!
ありそう!ありそうですね!←食いつき過ぎ
ほどほどに出来ない方ですもんね。
頂いたコメント拝見して、悔しがりながらも先日の夕鈴の艶姿を思い浮かべて一人遊びもありそう!とか思った私…
もはや末期かもしれません(^_^)b



2015-06-29 Mon 21:00 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
あい様。
何でしょう、私が書くと陛下はいつもやや残念な人に…

ほどほどってもう、夕鈴たら大人になっちゃって…
と、なんか感慨深いものがありました(*´▽`*)
陛下はやっぱりね!と(笑)


ブラック陛下の妄想!?すごい読みたいです!!
あい様ぜひぜひ書いて下さい~!!気になる!!
2015-06-29 Mon 21:11 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
くみ様。
私、浩大がSっぽいとノリノリで書けます(笑)
ないわーって言ってる時が書いてて一番楽しかったです!
自分が誉める会話を書き忘れたのに、完全に陛下のせいにして楽しんでます(^_^)
2015-06-29 Mon 22:07 | URL | rejea [ 編集 ]
あい様。
わわわ、ありがとうございます!
急いでお礼記事アップせねば(゚Д゚;)
ちなみに恋文大歓迎です(笑)

3000ヒット時のお礼ラクガキまたはSSで何かご要望等ありましたら教えて下さい~。

2015-06-29 Mon 23:18 | URL | rejea [ 編集 ]

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