星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

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嵐呼ぶ、花々の茶会

今私が最も気になるあの御方。
そうっ!蘭瑤様です!!
いや、すごい気になります。気になって気になって仕方ないんです。

そんな中、コメントで『瑠霞姫との直接対決をいつか見てみたい』というお告げが舞い降りました。
そんなの私も見てみたいっ!!
本誌を気長に待つのも手ですがせっかくなので妄想しました。
どんな性格か、何を考えてるかは完全に私の好みで書いております。
早く本物を見たい……




後宮の穏やかな昼下がり。色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園で、その花々を圧するが如く美しい女人が、顔を揃えていた。
茶会の主宰である夕鈴は、その絢爛たる光景に暫し目を瞬いて眩む頭を必死に立て直した。
「お妃さまが後宮にお戻りになられて、本当に良かったわ。またこうしてお茶をご一緒できるんですもの。」
艶やかに微笑む漆黒の髪の持ち主は嬉しそうに紅い瞳を細めた。
「私こそ、またお会いできて本当に嬉しく思っております、瑠霞姫。」
夕鈴も心からの微笑みを返す。
「この度はお妃様の可愛らしいお顔に加えて、懐かしいお顔も見ることができたんですもの。感慨もひとしおですわ。それに晏流公もこんなに立派になられて。ふふふ、やはりどことなく陛下に似ていらっしゃるわ。」
ちょこんと座った可愛らしい顔を愛しげに見つめる瑠霞。
晏流公の横で、瑠霞の古い知り合いである彼女はおっとりと微笑んだ。
「瑠霞姫はあの頃と変わりなく、美しくていらっしゃるわ。本当にお懐かしゅうございます。」
蘭瑶は、昔馴染みの艶やかな顔を、感情の読めない笑顔で見つめ返した。

王都へ呼び戻され、穢らわしい狼による厳しい監視の下暮らす日々。
始めは怒りも覚えたが、今は自分のその感情ですらも煩わしい。
無為な日常を繰り返すうち、何故かこの妃は度々自分と晏流公のもとへ顔を出すようになった。どうも晏流公だけでなく自分にも近付こうとして歩み寄ってくる。
おかしな妃である。
彼女がこちらへ近付くということがどういうことか、あの狼も伝えてはいないらしく、やれ今日は天気がいいだの珍しい花が咲いただの、理由を付けては茶会に招かれている。
一見すれば穏やかな茶会も、そこかしこに監視の目は張り巡らされている。もしも自分がこの妃に害を与えるような真似をすれば、即、晏流公共々殺されることは明白である。
そんなことは夢にも思っていないのだろう。妃はただ嬉しげににこにこと、瑠霞と晏流公とに話しかけている。
「お妃様が後宮を去られたと聞いて、心配していたわ。貴女のことも、それから貴女を失った陛下のことも。
無事に戻られたと聞いて居ても立ってもいられずにまた里帰りしてしまったわ。」
ふふ、と肩をすくめた瑠霞は、目を輝かせて夕鈴を見つめた。
「以前にも勝る寵愛ぶりは蒼玉国まで届いてましてよ。実際のところはどうなのかしら?」
「あ、そ、その、大変、優しくして頂いております……」
顔を真っ赤にしながら蚊の泣くような声で答える妃。
「あらあら、そのお顔の色で仲の良さが伝わってくるというものね。ご夫婦間のお悩みなんて無いのでしょうね?」
「悩み、ですか?」
「そうよ。結婚しても夫婦は別の人間。すれ違いや諍いも多少はあるものだけれど。
大切に大切にされている、後宮唯一の花には無縁な話かしらね。」
「悩み、という程でもないですが……」
言い淀む妃に瑠霞は大輪の花のような微笑みを投げかける。
「私も蘭瑶様も揃っている折角の機会よ。いつもは既婚の女性と話すことなんてそうそうないでしょうし、私たちでお力になれれば嬉しいわ。ねぇ、蘭瑶様?」
鉾先を向けられた蘭瑶は、穏やかに微笑んだまま頷いた。
「そう……ですよね。せっかくの機会ですもの。あの……」
それでも逡巡している妃の様子に、今まで大人しく座っていた晏流公が口を開いた。
「お妃様。あちらの池には生き物など居りますでしょうか?」
「え、えぇ。立派な緋鯉が居りますよ。ご覧になられますか?」
案内しようとした夕鈴を制するように、言葉を続ける。
「侍女の皆さんについてきてもらいますので、お妃さまはご歓談なさっていて下さい。母上、よろしいでしょうか?」
聡い子供である。瑠霞は晏流公の後ろ姿を感心したように見やった。
晏流公と侍女が四阿から離れたところで、ようやく妃は口を開いた。
「その……悩みと申しますか、自分が情けないと申しますか。私ばかりが何時もどきどきしてしまって、陛下の妃としてそれでいいのだろうか、と。」
真っ赤になりながら初々しく打ち明ける様は、まるで野に咲く可憐な花だ。
だが、蘭瑤は内心首を傾げた。
自分ばかり、と言っているが、果たしてそうだろうか。
日ごろの寵愛ぶりから考えれば、蓉州の屋敷に彼女が潜入したのは狼の命では決して無いはずだ。
あのような場所に妃を一人で送り込んだなど、あの男にとってはそれこそ心臓が潰れるような思いをしたことだろう。
どちらかと言えば、相手を振り回しているのはこの妃のようにも思えるが。
「あらあら、可愛らしいお悩みね。……まだあるのかしら?何か、言いたそうだわ。」
瑠霞が首を少し傾け話を促す。美しい黒髪がさらりと揺れる。
その様にしばし魅入った妃は、俯いて小さな声で言った。
「その……陛下はいつも私によくして下さってます。でも、私は美しい訳でもありませんし、そもそも何も持たぬ身です。陛下に与えて頂いているものを少しもお返しできなくて。」

聞く者によってはなんと可憐な悩みだろう。
小さな呟きと赤く染まった顔にほんの少しだけ、慣れ親しんだある感情を読み取った蘭瑤の背筋を、ひそやかな快感が走った。
これは、嫉妬だ。
後宮唯一の可憐で純朴な花である彼女でさえも、やはりこの思いからは逃れられないということか。
彼女が嫉妬しているのは、愛しい男の背に透けて見える過去の女たちだ。自らに触れる手に、肌に、唇に、どうしてもその影を見出してしまうのだろう。
今は唯一の存在であっても、相手の過去まで手に入れることは出来ないのだから。
人の欲とは限りの無いもの。
そしてまた欲は心の在り様をいくらでも捻じ曲げるもの。
今はまだ野の花のようなこの妃も、後宮にしっかりと根ざし染まっていくうちに変わっていくだろう。長きに渡ってこの後宮の地に浸み込んだ、深い嫉妬と暗い羨望の念を吸い上げて。
そしていつか彼女もその身を以って知る時がくるだろう。
待って、待って、待ち続けて。
ついに愛しい相手を手にした時に、自分ではない他の女性を思われながら抱かれるあの絶望を。
その時こそ彼女はこの後宮に相応しい毒花となるだろう。
何も知らず、幼いまま後宮に入れられた、かつての自分のように。

蘭瑤は、素朴な花が毒を吸い上げ、じわじわと変わりゆく様をうっとりと思い浮かべた。
白磁の様な頬は美しく紅潮し、どこか精気の抜けていた瞳は妖しい艶を帯びて輝く。

―――全ての望みを絶たれた私に許されるのは静かに飼い慣らされ、家畜のように日々を送ることだけ。
ならば、待とう。昔のように。
可憐な花が後宮と自らの内に潜む毒とによって蝕まれ、大輪の毒花に変わるその時を。
私にとっての唯一の愉しみを、やっと見つけたわ―――

瑠霞は、静かに蘭瑤を見つめた後、夕鈴の顔を見て言った。
「お気持ちはよく分かったわ。私に良い考えがあるの。
ただその前に、少し晏流公の様子を見てきて頂けないかしら?侍女がついているとはいえ、ほら、あんなに身を乗り出して。」
「あっ、本当。それでは少し失礼致します。」
「その間に私と蘭瑤様とで対策を話し合っておくわ。」
池に向かって歩く妃を見送って、瑠霞は蘭瑤に視線を戻した。
「相変わらず美しくて怖い方。そんな表情をなさっていると、本当にあの頃の後宮に戻って来たみたいだわ。」
「……何のことかしら。」
「貴女は本当に後宮がよく似合う。」
瑠霞はにっこりと微笑んで続けた。
「お妃さまはご自分が後宮に相応しくないと嘆いておいでだったけれどね。
あの甥っ子は本当に困った子だけど、『私の兄上とは違って』女性を見る目は確かなようで、そこだけはほっとしているの。」
紅い瞳が射抜くように こちらを見つめる。
蘭瑤はそのするどい視線を正面から受け止めた。
すべてはお見通しというわけか。
そういえば昔からこの姫はこういう人だった。自由気儘なふりをして、その瞳は注意深く周囲の思惑を見抜き、いつの間にか手玉にとって。
この度の帰国も、ただ妃の顔を見に来たわけではない。妃に対する自分の態度を測りにきたということだろう。
あの、紅く、冷たく光る瞳。
この上なく愛しく、そして憎くて堪らない忘れられないあの方の瞳と同じ、どこまでもこちらを見通す禍々しい光。
それはあの狼にも通ずるものだ。
蘭瑤は瑠霞の美しい顔を真っ直ぐに見据えて極上の笑顔を浮かべた。
「本当に、貴女こそ昔から変わらないわ。強くて、自由で。私にはない全てを持った方。
そんな貴女が、ただ待つしか出来ない私は心底嫌いだったと今、漸く思い出したわ。」
笑顔のまま視線が卓上で交錯し、場の空気は一瞬で凍りついた。
茶を入れ替えるために妃と入れ違いにやって来た侍女は、味わったことのない緊張感に茶器を持つ手の震えを抑えることができなかった。無様に食器のぶつかる音が響く。
「もっ、申し訳ございません!」
真っ青な顔をした侍女に視線を向けた瑠霞はふっ、と笑い声を洩らした。
「これくらいで取り乱すなんて、本当に今の後宮は平和なのね。
……貴女たち、あのお妃さまを大切になさいね。」
さて、と明るい声を出して瑠霞は立ちあがった。
「本音をさらして下さったお返しに、咲くかどうかも知れぬ花を待つよりももっと愉しめる方法を教えて差し上げても良くってよ。」
「……何をなさるおつもりかしら。」
訝しげに問う蘭瑤に瑠霞はにんまりと微笑んだ。


次の日。
美しい花々に囲まれて、瑠霞、蘭瑤、晏流公は手持無沙汰に茶を喫していた。
「来ないわねぇ、お妃さま。せっかく昨日のご衣裳について陛下がどう仰ったか聞き出そうと思ったのに。」
前回よりも胸元や背中が空いた大人っぽい衣装に、結い上げた髪。その髪には彼女の魅力を十分に引き出す細やかな細工の簪を飾りつけて。
瑠霞と蘭瑤の二人が本気で見立てた装いは、さぞや陛下の心を奪ったことだろう。
肝心の本人が来ないことには、その後の様子をからかうことも出来ないのだが。
「昨日のお妃様は本当におきれいでしたね。いつもは可愛らしい方ですが。
……まるで天女様のようでした。」
夕鈴の艶姿を思い出した晏流公はぽーっとした表情で呟いた。
兄弟で好みも似たのだろうか。瑠霞はくすくすと笑った。
「ご歓談中、失礼を致します。」
年若い妃付きの侍女が拱手しつつ、おずおずと声をかけてきた。
「畏れながら、陛下よりご伝言を賜って参りました。必ず皆様お揃いの場でそのまま申し上げるように、との仰せでございますので、どうぞお許し下さいませ。」
下を向く侍女の顔が、赤く染まる。
「『我が妃はどなたかの悪戯のせいで足腰が立たぬゆえ、今日の茶会には伺えぬ。』と。」

それだけ言って去っていく侍女を見送って、瑠霞は耐えきれずに吹き出した。
「なんていう言い草でしょうね。お妃様に一番悪戯をなさったのはあちらの方でしょうに。」
しかもわざわざ晏流公がいる場で今の言葉を伝えたということは、子供とはいえ男である晏流公が、妃の艶姿を自分より早く目にしたことが相当気にくわなかったのだろう。
寵愛もまさかここまでとは。蘭瑶は呆気に取られた。
「お妃様、怪我でもなさったのでしょうか。」
心配そうな息子の言葉に、流石の蘭瑶も耐えきれず、口許を袖で隠した。
「本当に困った甥っ子だわ。
ね、あの二人に関してはこうして遊んだ方が余程愉しいと思いません?」
いたずらっ子のような顔でこちらを見る瑠霞。
「あのお妃様ならきっと、私達が見たことも無いような後宮をお作りになるでしょう。きっと待つだけ無駄になるわ。」
蘭瑶は蓉州の邸での彼女の様子を思い出した。
泥まみれになっても大して気にせず、くるくると動き回る様を。
「そうね……お妃様は骨身を惜しまぬ方ですから、後宮の土地ごと掘り起こして入れ替えてしまうかもしれないわね。」
毒花が根ざす土地ごと入れ替えられたら咲くものも咲かないだろう。
ぽつりと呟いた声は、瑠霞の耳にははっきりとは聞こえなかったけれど、蘭瑶の表情は昔みた少女の頃のような輝きを秘めていた。
「ねぇ、晏流公。母はお妃さまによく似合う簪を持っているの。今度日頃のお礼に貴方からお妃さまに差し上げてはどうかしら。貴方がお渡しすればきっとお妃さまは喜んで髪に挿して下さるわ。」
「はいっ!母上。」
きっとあの狼は常日頃の取り澄ました顔をかなぐり捨てて、子供相手に見苦しく嫉妬することだろう。
その様子を想像して、蘭瑤は久しぶりに心からの笑顔を見せた。
晏流公もまた、そんな母の様子に嬉しげに笑顔を返す。

「私も是非近くで見たいわ。お渡しするなら私の滞在中になさいませ、晏流公。」
後宮唯一の花は、久しぶりに顔を合わせた二人の間にも新しい風を吹かせてくれた。
子供の頃のように、今はただただ一緒に遊ばせてもらうとしよう。
瑠霞は、次の悪戯の算段を整えるため、あれこれと思いを巡らせた。




後記。
こんな感じになっちゃいました、あい様。大丈夫でしょうか??
14歳くらいで後宮入りした蘭瑤様と12歳くらいの瑠霞姫は年が近いから、仲悪くなる前は友達のように接していた、という設定でした。(年齢はなんとなく、です。)
待つしかできない自分に比べて、王族の瑠霞姫は自由気儘ですから。
憎くて憎くて堪らなくなったんだろうな、と。
後ほど、その辺の経緯もどシリアス、ブラックな感じで書きたいと思います。

それにしても本物が見てみたいです。
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コメント

毒花対決!!面白い( ´艸`)夕鈴は振り回されて大変そうだけど、こんな展開有りですね~(*^▽^*)
陛下サイドで悔しいけど、美味しいかな…って思って捕食する…な~んてスピンオフ書きませんか!?
2015-06-12 Fri 21:24 | URL | 行 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-06-13 Sat 00:05 | | [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-06-13 Sat 00:35 | | [ 編集 ]
行様。
そうですよね…やっぱりご夫婦サイドを書かないと(笑)
苦手な王道イチャラブ、向いてなさに悶絶しながら書いてみます!
2015-06-13 Sat 15:00 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
あい様。
受け取って頂けて安心しました~。
若い侍女さんで昔の後宮夕を知らなかったらこの二人の睨み合いでびびっちゃいますよね。
楽しそう過ぎてその場にいたいです。
草むしり係とかでいいから。
楽しいネタをありがとうございました(*´▽`*)
おかげさまで蘭瑶様の後宮ネタも浮かびましたし、ちょこちょこ書いていきたいと思います。
2015-06-13 Sat 15:07 | URL | rejea [ 編集 ]

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