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狼陛下の花嫁SS・イラストなど

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白陽帝国の花嫁 12

サブタイトル「衛生兵の無自覚な誘惑」
こちらはパラレルです。
シリアス展開はどこへやら、全力でふざけ倒しております。
苦手な方はスルーなさって下さいませ。





几鍔は馴染みの喫茶店に顔を出して真っ昼間から裏メニューの酒をちびちび飲んでいた。
どうやら騒がしい幼馴染みが住み込みバイトから久しぶりに泊まりがけで帰って来ているらしい。休暇中に親友である明玉が働く店に顔を出すだろうとやってきたのだ。一応自分のシマのガキである夕鈴の様子を見ておきたいというだけで、彼自身は他意はないと思っている。まぁ、周りのものはそうは見ていないが。
「あらー?几鍔さん、来てたんだ。気付かなくてごめんなさい。」
明玉が空いたグラスを下げつつ声をかけてきた。
「……まぁ、飲まなきゃやってられないわよねぇ。ずーっと見守ってきたのに知らない男に攫われちゃって。」
なぜか憐れむような目で見詰められる。
「あ?何の話だ?」
「あれ、やだ知らなかったの?じゃあ、私からは余計なことは言えないわぁ。」
訝しむ几鍔に構うことなく、ごゆっくりと言い置いて他のテーブルへ向かう明玉。一体何だというのだろうか。夕鈴に関係がある話なのかもしれないが見当がつかない。
その時扉を乱暴に開けて、取り巻きの弟分が駆け込んで来た。
「たっ、大変ですよアニキ!ゆっゆっ夕鈴が、見かけない男に攫われましたぁ!」
汗をだらだら流す弟分はそれだけ叫ぶと崩れるように床にしゃがみ込んだ。
「はぁッ!?お前、そりゃどういう事だよ!」
胸座を掴まれ、ガクガク揺さぶられた弟分はそれでも必死に口を開いた。
「だからっ知らない男が嫌がる夕鈴を担ぎ上げて運んでっちまったんですよ!相手は軍人みたいだったし、そん時は俺一人だったし……とにかくアニキに知らせようと思って……」
「それで、どこに連れて行ったんだ!!」
几鍔はさらにガクガクと半泣きの弟分を揺さぶった。
「ぐぇっ!苦しいっすアニキ!つ、通用門の近くの宿屋、ですっ。」
それだけ聞き取ると胸座を掴んだ手を放り投げるように突き放した。その宿屋なら実家である几商店と馴染みの店だ。駆け出そうと振り向くと、やたら目を輝かせ、興味深々といった態の明玉が視界に入った。
(そういえば、さっきコイツは何て言った?攫われた、とか言ってなかったか。)
「明玉。お前、何か知ってるだろ。」
鋭い視線を投げかけるが明玉はさらに瞳を輝かせて答える。
「さっきも言ったけど、私からは何も言えない。やっぱりこうなったら直接対決しかないわよ几鍔さん。当たって砕けるにしても男だもの、ドーンとぶつかってきた方が諦めもつくわよ!」
背中をバンバン叩かれる。
「そうと決まれば早く行った方が良いわ!場所も宿屋みたいだし、遅くなると色々困るんじゃない?」
とりあえず夕鈴が拐かされたことは確からしい。親友の彼女がなぜこんなにも生き生きしているのかいまいち腑に落ちないものの、急がないと夕鈴の身に危険が迫っていることには変わりない。
「ったく、やっぱり面倒事に巻き込まれやがって……あのバカ!」
ちっと一つ舌打ちをして、几鍔は疾風の如く駆け出した。

一方、夕鈴はガチガチに固まっていた。
宿屋に着くなり金貨をざらざらと主に渡した黎翔は、あっという間に夕鈴を奥まった一室に連れ込んだ。
ぽすんとベッドに下ろされた途端、黎翔は身にまとった白いシャツを脱ぎ始めた。
綺麗な上半身が露わになる。軍服を着ていると細身に思えるが、その体は隈なく筋肉が付き引き締まっていて、動くたびに誘うような男の色香を振りまいている。
(どっどっどうしよう……ドキドキして、でも目が離せないっ……)
真っ赤な顔で固まる夕鈴に黎翔が近づく。
それに伴って、夕鈴の視界が黎翔の肌で埋まっていく。
「夕鈴。服を脱いで。」
「はぇっ!?えっやっそ、そんな、無理です!」
「いいから早く。脱がないなら私が脱がせるぞ。」
軍服の襟に手を添えられる。半裸の体がますます近づいて、夕鈴はたまらず叫んだ。
「わっ、私まだ心の準備が……!!」
「とにかくこの濡れた服を脱いで乾かさないと。私のシャツを代わりに羽織るんだ。肩口だけ濡れているが何も着ないよりはいいだろう。……ん?どうした夕鈴。」
夕鈴は自分の恥ずかしい勘違いに突っ伏して悶絶した。
(私ってば!私ってば!!何考えてるのよ本当にっっ!!元帥は親切で言ってくいれてるのに、抱き締められるかも、だなんて!!あぁ、穴があったら入りたい……)
「あの、夕鈴。君が嫌なら脱がさないからそんなに恥ずかしがらないでくれ。とりあえず着替えが終わるまで外にいるから。」
また拒絶されたと勘違いした黎翔はしょんぼりと部屋の外へ出て行った。

待つことしばし。終わりましたと控えめな声が扉の内から外へ届いた。扉を開けた黎翔の目に入ってきたのはとんでもなく凶悪な光景だった。
濡れてしまったポニーテールを下ろし、黎翔の大き目のシャツをばさりと羽織った夕鈴。肩先や胸元に彼女の綺麗な髪が纏わりついている。シャツの裾からは白い足と膝上までのタイツがなんとも言えない調和を保ち、黎翔の視線を奪う。
何故だろう。軍服のスカートと大して丈は変わらないのに、このなんとも言えない背徳感。
黎翔の喉がごくりと鳴った。
「あ、あの……そんなに見ないで下さい。恥ずかしい……」
夕鈴はもじもじと、片手で前を、もう片方の手でおしり部分のシャツを抑えた。
嗚呼、可愛い。脱がせたい。というか食べたい。
思考にはもはやそれしかないのだが、なんとかなけなしの理性を振り絞る。
(落ち着け黎翔!戦場から帰って以来、なぜまた夕鈴に避けられているか。それはついつい舌を入れようとしたからだ!李順の言葉を思い出せ!!)
脳裏に李順の眼鏡と冷たい視線を思い浮かべる。

―――だからほどほどにと申し上げましたでしょう。夕鈴殿の恋愛スキルはレベル1!ひよこでもなくたまごです、たまご。そんな小娘にいきなりディープキスをかまそうとすればそれは避けられますよ。はっきり言って元帥閣下の機嫌が悪くて作業効率が落ちるのはこちらとしても大変遺憾であり、且つ迷惑です。
いいですか、何も知らない生娘に入れ上げたのは他でもない貴方ご自身です。がっつかずに大人の余裕を持って対応なさい!―――

そう。大事なのは大人の余裕。黎翔は何度も深呼吸して、明後日の方を向いた。高ぶる気持ちを抑えるように、頭の中で眼鏡眼鏡李順眼鏡、と呪文のように繰り返す。
「夕鈴、濡れた軍服を。宿の者に頼んで乾かして貰おう。」
「そんな!自分で頼みます。元帥、シャツ着てないですし。私が持って行って……」
「っ!そんな姿で私以外の者の前に出るなど許さん!!」
想像以上の元帥の迫力に夕鈴は大人しく従った。
「じゃ、じゃぁお願いします。」
あの姿でうろつかれたらたまらない。それに比べれば自分の半裸など実に下らない些末なことだ。黎翔は夕鈴の軍服を奪うように受け取ると階下へと駆けて行った。

宿の者に軍服を預けた黎翔が部屋へ戻ると、夕鈴はそのままの格好で待っていた。
「その格好では寒いだろう。シーツを体に巻くか、ベッドに潜るかしたほうが良い。」
自分の理性を保つためにもぜひそうして欲しいが、夕鈴はかぶりを振る。
「元帥こそ私にシャツを貸して下さったから裸じゃないですか。風邪ひきますよ。元帥がどうぞ。」
「いや、私はこれでも軍人だ。この程度どうということもない。君が使ってくれ。」
「いや、元帥が……あ……じゃぁ、あの、一緒に使いますか?」
恥ずかしそうに真っ赤になりつつ、こちらを見上げる夕鈴。
それは駄目だ。耐える自信がない。
これ以上そんなに可愛く囁かれたら「ああ、もちろん!!」とすぐさまベッドに押し倒してしまいそうだ。
黎翔はぶんぶんと頭を振った。
「いや、とにかくこういう時は女性が優先されるべきだ。さぁ、体を冷やすと良くない。」
そっと夕鈴の背を押すと、小さく呻く声が聞こえた。
「……夕鈴。君、どこか怪我しているのか。」
「いえ、怪我と言うほどでも。さっき用水路に落ちた時にちょっと足を挫いちゃったかなーって……」
バツが悪そうに言う夕鈴を、黎翔はまたも問答無用で抱きあげた。
「きゃぁ!何するんですか!」
怒る夕鈴をベッドに優しく下ろす。
「君は何故早くそれを言わない!?見せろ。右足か?早く冷やさないと。」
怒った顔をした黎翔は夕鈴のタイツを下ろすために手をかけた。
「やっ、やだぁ!止めて下さい!恥ずかしいからっ!!」
「今はやましい意味は無いっ。ただ早く手当てしなければと思っているだけだ!」
「いっ、今はって何ですか!?もうっやだったら!……痛っっ!」
「暴れるからだ。もう、諦めて大人しくしろ。」
端から見たら馬鹿馬鹿しくも、至って真剣に膝上タイツを巡って争う二人。
そんな騒ぎの最中に、いきなり部屋の扉が凄まじい勢いで蹴り破られた。
茫然とする二人の前に現れたのは、眼帯を付けた精悍な青年―――怒りに震える几鍔だった。


後記。
やっとかなり前に描いたイラストを使う機会が来ました。
ニーソ問題についてコメント下さった方々、その節はありがとうございました(笑)
夕鈴が着たら絶対かわいいと思います。

ちなみに李順さんは脅されないと判断したので元帥に対してめっちゃ強気です。
眼鏡眼鏡李順眼鏡。私はテンション上がります。

彼シャツ


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コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-06-06 Sat 16:38 | | [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-06-06 Sat 17:13 | | [ 編集 ]
きゃー!
美味しそう←違う
これで我慢できるんでせうか(笑)
2015-06-06 Sat 18:56 | URL | くみ [ 編集 ]
眼鏡眼鏡李順眼鏡に吹き出した!隣で子供達が困惑の目を…(笑)
こんな魅惑的な夕鈴を前に効く呪文って最強ですね~(^^)
恋愛スキルたまごって(笑)我が家の娘の方がスキル在るかも…(爆)ちなみに小4です(笑)
2015-06-06 Sat 20:10 | URL | 行 [ 編集 ]
Re:
ゆらら様。
受け入れて頂いてほっとしました。完全に私の趣味丸出しですので!

それにしても、ゆらら様の大人な文章にドキドキです!
そんなの私もご相伴に預かりたい……!!←言い回しがもうオヤジ

アニキは安定のNTRキャラ(使い方合ってるのか?)として頑張ってもらいたいと思います(^_^)b

2015-06-08 Mon 08:00 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
あい様。
夕鈴、ものすごいノーガード戦法っ!!もはや最強です。
……もしかして、裾から見えちゃいますかね( -_-)ジッ
それは元帥止まれないですね(笑)

そうか…下着…(←なにも考えてなかった)
次の話に入れ込ませて頂きますっ。ありがとうございます!
2015-06-08 Mon 08:08 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
くみ様。
夕鈴がケガしてなかったら、アニキが来なかったら、まずかったと思います!
夕鈴が可愛いのが悪いんです。元帥ワルクナイ!
でもガッカリだから味見もできてない(笑)
陛下だったらもう少しおいしい思いをされそうです。
2015-06-08 Mon 08:14 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
行様。
眼鏡眼鏡李順眼鏡。ふざけ過ぎかなーと思ったもののついつい。
頭の中眼鏡でいっぱいですσ(^_^;

娘さんは大人っぽい子ですか?カワイイですね~おませ女子!
李順さんはわざと辛口に言ってるところもあるんですが、たまごレベル……ヒドい(T_T)
次回、ひよこに羽化してもらいます。←ひよこかよ
真っ赤になって逃げるだけじゃあいかんです!
2015-06-08 Mon 08:21 | URL | rejea [ 編集 ]

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