星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

白陽帝国の花嫁 11

サブタイトル「狼元帥のおしのび」
間が空いてしまい、その間にご訪問頂いていた方申し訳ありません。
今回のストーリーの都合上、一話で『夕鈴が国営放送で黎翔の顔を観たことがある』としていた部分を『帝国軍のポスターで……』と変えました
おしのびしやすいように(-_-;)
盗聴器はもう大目に見てくださいませ……
行き当たりばったり過ぎてすみません。

さて、またまたパロディ路線に戻って参りました。
苦手な方はスルーなさって下さい!



「好きな人とどう接していいか分からないって……あんた幾つよ?夕鈴。」
明玉は久しぶりに会った親友の悩みに少しだけ呆れた。
「自分でも情けないって思ってるわよ……ちゃんと向き合うって決めたのに。でもどうしていいか分からないんだってば。お願い明玉!どうしたらいいか教えて!」
半泣きの夕鈴は恥をしのんで親友に泣きついた。

黎翔が帰ってきてからというもの、自分の気持ちを自覚した夕鈴はなかなか自然に接することが出来ずにいた。
もちろん無事に戻ってきてくれて心底嬉しかったしほっとした。
だが、毎日側にいるとなるとどうしていいか分からない。結果よそよそしくなったり、真っ赤になって距離をとってしまう。さらには落ち着かなくて仕事にまで支障の出る始末。これでは以前と同じ、いや寧ろ悪化している。
頭を冷やす為に三日間の休暇を申請した夕鈴が頼ったのが、親友の明玉だった。
彼女は婚約中の恋人もいるし、恋愛面に関しては夕鈴よりずっと経験豊富だ。どうにか改善策を授けてもらいたいと縋るように彼女の職場の喫茶店に足を運んだのだ。

「んー、まず彼はあんたにつき合ってくれって言ってくれたんでしょ?」
「いや……永久就職を前提に恋人候補にしてくれって……」
「はぁっ!?もはやプロポーズじゃない!てか、候補って何よ?恋人じゃないの?どれだけ上からなのあんた……
まぁいいわ。そんな事より夕鈴!もちろん返事はしたんでしょ?」
「えっと、それがまだ……」
夕鈴はバツが悪そうに答えた。
「まだぁ!?それだけ真剣に告白されて返事もしないまま何もせずに逃げ回ってんの?それちょっとヒドすぎない?」
「なっ、何もしてない訳じゃ……」
どんどん小さくなる声と赤くなる顔。何かを察した明玉はさらに追撃した。
「ハグは?」
「した……」
「じゃあキスは?」
「っ……!」
「……したのね。」
ばふっと真っ赤になった親友を見て溜息をつく。
どうも順序がおかしい。つき合ってないのに結婚だの、ハグだのキスだの。そうは思うがまあ、この際細かいことは除けておく。
「そこまでしといてまだ返事もしないで逃げ回ってるなんて、そっちの方がよっぽどヒドイわよ。悪女よ悪女。不誠実!」
親友の言葉に夕鈴はかなりの衝撃を受けた。
「私、不誠実だったんだ……」
明らかに沈んだ夕鈴の顔。明玉はやれやれ、といった様子で苦笑した。
「そりゃあ、今まで恋愛感情が無かった相手にそんな攻められたら困るってのも分かるけど。几鍔さんだって真剣なんだからちゃんと応えてあげなさいよ。」
「ちょっと待って。なんで几鍔の名前が出てくるのよ?」
姉のように暖かい目で見てくる明玉に、夕鈴はすかさず突っ込んだ。
「え、違うの?うっそ、私てっきりそうだと思ってたわ。」
「アイツはただの腐れ縁の幼なじみだってば!」
「そうかー。いやいや、これはますます下町の悪女だわね。まるで今噂になってる『帝国軍の悪女』みたいよ、夕鈴!」
あはは、と笑った明玉の言葉に聞き捨てならないものが混じっている。
「なに、その『帝国軍の悪女』って……」
「帝国軍でバイトしてるのに知らないの?あの怖ーい怖ーい狼元帥を恐ろしい程の美貌と魔性の色気で翻弄するとんでもない美脚の婚・約・者!今下町はこの噂でもちきりよっ。」
夕鈴は含んでいた紅茶を吹き出した。
そんな恐ろしい噂が広まっているというのか。勘弁して欲しい。
「ちょっと、大丈夫?顔色悪いわよ。ま、元帥みたいな雲の上の人の話をバイトが詳しく知ってる訳ないよね。」
げほげほ咳き込む夕鈴の背中を撫でながら明玉は続ける。
「じゃあ、とりあえずその彼を今度連れてきなさいよ。どんな人か見てみたいし。」
「絶っっ対、無理!!」
「なによー。少しくらいいいじゃない。」
「いや、ほら、忙しい人だし!!ホントに!!」
(その噂の出所が私だなんて絶対知られたくない!!相手が元帥だってことは絶対秘密。死守よ、死守!)
女二人でぎゃあぎゃあ騒いでいると、背後から今最も聞きたく無い声がした。

「夕鈴。ここに居たのか。」
恐る恐る振り向いた先には満面の笑顔の狼が立っていた。
「ぎゃぁーーーーーーー!!!」
叫んだ夕鈴は凄まじい勢いで黎翔へと駆け寄った。
「なんっなんっなんでここに……!!」
「君を迎えにきたんだが。家に行ったら弟がここだろうと教えてくれた。」
「元っ、じゃなくて、黎……えーっと」
「私のことは李翔とでも呼んでくれ。一応おしのびだ。」
そう言えば髪型も前髪を後ろに撫でつけているし、眼鏡をかけている。
いつもの黒い軍服ではなく、上は白いシャツに下は帝国陸軍のフィールドグレーのアーミーパンツ。まぁ、変装してはいるが、その存在感たるや到底隠せるものではない。
(こういう元帥もかっこいい……って、そうじゃないでしょ夕鈴!)
夕鈴は思わず見惚れた自分に突っ込んだ。
「そんなことより、仕事はどうしたんですか!李順さんはっ!?」
つい先日まで真っ青な顔をしていた李順を放り出してきたとでもいうのだろうか。
「私のことより李順の話か……どうせ仕事にならないなら早く連れ帰って働け、と言っていた。問題無い。」
問題大ありだ。夕鈴は蹲って頭を抱えた。まだ解決策も見つかっていないのに、本人が迎えにくるだなんて。
「きゃぁーっなにこのイイ男!!ちょっと、これがあんたの彼なの?夕鈴っ!!」
ざわつく店内にまずい、と立ち上がる。
下町にも元帥のポスターは出回っているのだ。気付かれないとも限らない。
「ごめん明玉っまた来るから!」
黎翔の手を掴んで、夕鈴は外へと駆けだした。

「今日の君は積極的だな。やはり迎えにきて良かった。このまま二人でデートでもしようか。」
にこにこと嬉しそうな黎翔の手を引っ張りながら、夕鈴は怒った。
「何を言ってるんですか!とにかく李順さんの体調が心配です。休暇はお終いっ!今すぐ本部に戻りましょう!」
自分を迎えに来させる目的で黎翔の外出を許可するなど、余程切羽詰まった状況なのだろう。あの青白い顔色ではもう倒れているかもしれない。人の命がかかっているのだ。もはや恥ずかしいなどと言っている場合ではない。

急ぎ家へ帰って、黎翔直属部隊の黒い軍服に着替える。
これが軍人・貴族の居住区へ入る際の通行証代わりとなるのだ。
高級居住区へ入ってからも、下町の普段着ではいちいち職務質問されて面倒でもある。
「お待たせしました。早く戻りましょう!じゃあね、清慎!またすぐ帰ってくるから!」
「えと、姉さん。いつものことだけど転ばないようにね。李翔さん、姉をよろしくお願いします。」
困惑顔の弟に別れを告げ、夕鈴は黎翔を引っ張って外へ出た。
そのまま早足で居住区を隔てる壁に設けられた通用門へと向かう。
「……夕鈴、先ほどから聞こうと思ってはいたが。君はなぜ頭からシーツを被っているんだ?」
「この軍服を隠すためです。そもそもこんな短いスカートで下町をうろついたらいい笑い物だし、腕に元帥直属部隊の刺繍が入ってるじゃないですか。こんなの知り合いに見つかったら大騒ぎですよ。」
「……シーツを被っている君もかなり目立つと思うが。」
「頭から隠してるから大丈夫です!ほら、急ぎますよ!」
おばけの仮装のような格好の夕鈴が早足で昼の下町を通り抜けていく。明らかに不審だが、それもまた可愛い。
だが、長いシーツが夕鈴の足に絡まりそうで見ていてはらはらする。
「危なっかしいな。私が通用門まで抱いていこう。ほら、掴まって。」
「いいいい、いいです!!もう、先に行きますから後から来て下さい!」
恥ずかしさのあまり両手を差し出す黎翔を置き去りに、夕鈴はシーツを被ったまま駆けだした。
「あ、待て夕鈴!そのまま走ったら危ない……」
黎翔の言葉が終らないうちに、シーツはものの見事に夕鈴の足に絡まった。
「……わっきゃあ!」
「っ夕鈴!!」
見事に足を取られた夕鈴は、バランスを崩して清水の流れる用水路へと落っこちた。
「冷たーーーっ!もう……あぁ!シーツ流された!!」
頭からびしょ濡れになった夕鈴を黎翔はすかさず引っ張り上げた。
「全く、だから言っただろう。もう問答無用だ。とにかく濡れた服をどうにかしよう。」
ひょいっと肩に担ぎあげられる。
「横抱きが嫌ならこれでいいだろう。少し大人しくしていろ。」
「ぎゃー!!嫌ーーー!!下ろして下さいっ自分で歩けますーーー!!」
「じたばたすると私以外の者にまでスカートの中が見える。それだけはやめてくれ。」
「うううっ……おーろーしーてー!!」
黎翔は足早に通用門の近くの宿屋へ向かった。
このままでは風邪をひくのは必至だ。とにかく服を乾かさなければ。

騒がしい二人の後をかなりの距離をとって心配そうにつけてくる男に、ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人は全く気付いていないのだった。


後記。
やっと白シャツメガネ元帥を出せました。ここに来るまで長かった……
次は夕鈴ですね。
通勤電車から上げ逃げ。
目次は後ほど直します。
元帥 シャツ眼鏡

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コメント

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2015-06-04 Thu 18:46 | | [ 編集 ]
きゃー、色気ダダ漏れです、暴れ、違う。
元帥さま(笑)
2015-06-04 Thu 19:13 | URL | くみ [ 編集 ]
Re:
あい様。
ええ、もう、夕鈴を着替えさせる為だけにおしのびしてます!用水路ありきで!
ネタを温めすぎて発酵しかかった、馬鹿馬鹿しい話になると思います。

まさかのサバイバルチョイス!
あのようなラクガキと駄文に、勿体ないお言葉ありがとうございます(T_T)
明日からゆっくりパソコンに向かいたいです…
2015-06-05 Fri 17:34 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
くみ様。
色気出てますか?出てたら嬉しいです(*´▽`*)
文章だと暴れ狼どころか、もはやぽんこつ狼な気もしてきた元帥ですみません……
2015-06-05 Fri 17:39 | URL | rejea [ 編集 ]

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