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物思う道具 「ぬすみ食い」

浩大メイン「つまみ食い」の続編にあたります。
つまみ食いを許して頂けた方、ぬすみ食いもセットでいかがでしょうか?

時期的には夕鈴が後宮へ入り、陛下と結ばれた後。
未来のお話です。
黎翔×夕鈴カップリングは変わりませんが……
「つまみ食い」が昼なら「ぬすみ食い」は夜です。
陛下以外が夕鈴にちょっとでも触れるなど許せん!という方はご遠慮頂いた方がよいかと…

微々たるものですが大人な表現がございますので原作のキャライメージを崩したくない方はスルーなさって下さい。




出て来る言葉について。
露台・・・中国でいうところのバルコニー。警備しやすそうなので。
麝香・・・香水でいうところのムスク。大人が一戦交えるときに効果的で中国では昔から富裕層が使ってたらしいです。
浩大の(rejeaの)いたずらを許してくれる方、どうぞお進み下さい。


今夜は満月。
明るい月影のもと訪れる刺客の気配もなく、浩大はのんびりと後宮の警護をしていた。
今日は陛下のお渡りは遅くなるようで、夕鈴もすでに眠っているはずだ。
暇を持て余した浩大が屋根から露台へと降りてきたところで、彼の常人離れした耳が異変を察知した。
小さな抗うような声。
紛れもなく、夕鈴のもの。
―――満月だと思って抜かったか。
浩大は外から簡単に蹴破れないよう頑丈に作られた窓の外側の引き戸に懐から取り出した複雑な鍵を数本差し込み、妃の寝室へ踊りこんだ。
「……お妃ちゃん、大丈夫か。」
声をかけるが部屋は静まり返っている。
灯篭の明かりが薄らと室内を照らすが異変は感じられない。
「……や、めて……」
寝台から夕鈴の声がする。
まさか、刺客がそこまで辿りついているのだろうか。
気配を殺し近づき、一気に天蓋の内に飛び込んだ。
だが、そこにはただ一人眠る妃の姿。
「寝言かよ……」
浩大は溜息をついて寝台に腰を下ろした。
夕鈴は眉間に皺を寄せて眠っている。
後宮に入ってから夜ごと黎翔に愛されているせいか、少し痩せた気がする。
宵闇にうっすらと浮かぶ夕鈴の顔はいつもより大人びて見えた。
浩大は手の甲をそっと頬に近付けた。
体温は少し高いが呼気も正常。毒の心配はないだろう。
「んん……っ」
ささやかな頬への刺激のせいか、夕鈴は上を向いていた体を捩り、寝返りを打った。
掛け布が体からすべり落ち、寝乱れた夜着の裾から白くほっそりとした足が露わになる。
浩大はもう一度溜息をついた。
自分以外の男が警備についていたらこれは由々しき問題だ。
夕鈴の乱れた裾を直すために体に触れないよう夜着だけを掴む。
手早く裾を直すと、浩大は体を離そうとした。
その時予想外に強く腕を引かれて、寝台の上で不安定な体勢をとっていた浩大は不覚にも倒れ込んだ。
「……おい、お妃ちゃん。離してくれ。」
夕鈴の胸に腕を抱え込まれるような体勢で浩大は呻いた。
「やっ……いか、ないで……」
今度はさらに強く頭を引かれ、完全に胸の上に抱え込まれた。
とっさに顔を背けて口づけることは避けたが、それでもこれはまずい。
浩大の頬の下には、呼吸と共に密やかに上下する柔らかく暖かい胸地があることに変わりない。
まいった。
ただの不覚ではなく一生の不覚だった、と浩大は息を詰めた。
どうにか離そうとするのだが夕鈴は身を捩るようにしてしがみつく。
「や。もっと……きて……」
浩大の耳に熱い吐息がかかる。
崩れていく袷からは、普段から彼女が好んでいる花の製油の香りだけではない、別の匂いが立ち上る。
火照った肌から香るのは、浩大の良く知る下町で嗅いだ日向の匂いや洗濯物や、温かな手づくりの饅頭の匂いでもない。

それは、艶めかしい麝香と、濃い「女」の匂いだった。

「ね……おね、がい。」
浩大は甘い声と鼻先に揺蕩う抗い難い香りに吸い寄せられるように夕鈴の首筋に顔を埋めた。
そっと触れた首筋がぴくりと震えるのを唇で感じる。
ますます濃くなる香り。
しっとりとした熱い胸を露わにするために、袷に手をかける。
憑かれたように首筋から下へと進む浩大の耳に、夕鈴の呟きが届いた。

「すき。……へい、か。だいすき……」



夕鈴はふと風を感じて目を開けた。
「……へいか?」
先ほどまで陛下がいたような気がするが夢だったのだろうか。
かなり生々しい夢を見てしまった気がする。
きっと、この不思議な香りのせいだ。
普段は香を好まない陛下からの贈り物だというから焚きしめてもらったけれど。
この匂いに包まれているとどうも落ち着かないし、陛下の事を思い出してしまう。
夕鈴は寝台で一人頬を染めた。
「お妃ちゃん、起きちゃったか。」
露台へ続く窓を背に、浩大が立っていた。
「浩大?どうしたの?まさか刺客!?」
慌てて立ちあがった夕鈴に浩大は手のひらを向けて制する。
「いーや、お妃ちゃんの寝言がでかくて驚いただけ。寝てていいよ。もうすぐ陛下も来るだろうしサ。」
外へ出て行こうとする浩大に夕鈴は声をかけた。
「あの……私、寝言で何か変なこと言ってなかった?」
まさか昨夜の夫との交わりを夢に見たとは言えないが、もし聞かれていたら身の置き所がない。
冷や汗をかきながら、浩大を見る。
差し込む強い月の光を背にしたせいで顔は見えないが、その時確かに浩大が薄く笑ったのを夕鈴は感じた。
「さあね。オレは知らないよ。」
それだけ言って浩大は姿を消した。

「嘘ー!!絶対なんか聞いたでしょ浩大ーーーーっ!!!」
屋根の下から押し殺したような怒鳴り声が聞こえてくる。
その声はバイト妃の時と何も変わらず、真っ直ぐであけすけで、距離もなくて。
浩大は笑った。
ああ、やっぱりこのままでいい。
このままが、いい。
あの香りに流されず踏みとどまった自分を心底褒めてやりたいと思った。
自分は道具だが、割と幸せな道具だとも。
あんなにも面白い夫婦に使われて、馴れ馴れしくぎゃーぎゃーと遠慮なく怒鳴られて。
せいぜい長く使ってもらえるよう、気合を入れ直す。
ただ、その前に。
「休暇申請しようかなー。お妃ちゃん以外の女と遊ぶ時間が無いのが悪いんだと思うんだよな、ホント。」
自分自身をからかうように呟く浩大を、冴え渡る月の光が照らしていた。




後記。
浩大はプロ中のプロ!
そんな気持ちで書いてます。
でもいくら道具って言っても23歳健全な男子たるもの、少しは動揺した方が私的にはぐっときます。
結果やっぱり手を出さないとこがプロフェッショナルたる所以ということで。

陛下はわざわざ夜にだけ夕鈴に麝香をつけさせたと邪推しました。
たまには雰囲気変えても良いんじゃないでしょうか。スパイス的な。
痩せちゃうほどの頻度ですし。
(なにがだよ、と思った汚れない方はスルーしてください)
本誌でそんな展開はないでしょうが、新婚生活はきっとそんな感じでしょう。

ぬすみ食い


悪そうな浩大。
もし二部で極悪キャラと化してもそれはそれでオイシイです。
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コメント

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2015-05-29 Fri 08:40 | | [ 編集 ]
Re:
あい様。
陛下は日々がんばってらっしゃるんでしょう!新婚ですから!
陛下だけつやつや生き生きしてそうです。
仕事すごい速さで終わらせてすごい笑顔で帰ってきそうです。

浩大もたまには息抜きできたらいいですね。
それこそ娼館やら妓楼やらで羽目外してきてくれーと腐った私は思ってしまいました。

背、伸びちゃいました(^_^;)
大人っぽくしちゃったせいで大事なショタっぽさが霧散!!
2015-05-30 Sat 13:54 | URL | rejea [ 編集 ]

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