星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

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白陽帝国の花嫁 7

こちらはパラレルです。
足フェチがっかり狼元帥が、がんばって夕鈴を口説いています。
苦手な方はスルーなさって下さい。
サブタイトル「衛生兵とPR大使の秘密の話」

やっとPR大使が出せました。
行き詰ってちっとも書けずにおりました。
早く明日になれー。
甘ーい原作が読みたいです。





軍事帝国である白陽帝国の中心、軍事要塞『黒牙』。その中央本部棟で今日も衛生兵(バイト)の汀 夕鈴は懊悩していた。
ここ二カ月、胸が詰まるような息苦しいような、とにかく落ち着かない日々を送っている。
原因は考えなくても明らかだ。
この国の最高権力者、冷酷非情の黒き狼と呼ばれる珀 黎翔元帥。
ひとえにその人ただ一人に悩まされているからである。

バイトを始めた当初はしつこく肩やら腰やらスカートやらを触ったり、意地の悪い言葉を投げかけてきたりしていたのだが、ここふた月はどういう訳か、からかう方向性を変えたらしい。
毎日毎日顔を合わせる度ににこにこと嬉しそうに微笑まれ、甘い言葉を囁かれ、そっと手を握ったり、恐ろしく近い距離でじっと見つめられたり。
真っ赤になって怒鳴ろうとすると、捨てられた犬のような顔をして「怒る?」と無言で訴えてくるので、夕鈴は振り上げた拳を下ろすことが出来ずにいる。
せいぜい慌てて距離を取るくらいのものだ。
しかも困ったことに、甘く接せられるようになってようやく気がついたのだが、珀元帥は恐ろしく格好いいのだ。
顔立ちの美しさは下町でもポスターが出回り話題になるほどなので分かってはいたものの、その整った顔に至近距離で見つめられ、形の良い薄い唇から甘い言葉を囁かれると凄まじく心臓に悪い。
しかも日に日に距離が近付いてきていて、もはや触れ合う寸前。
夕鈴は遂に耐えきれず、直属の上司である李順に相談した。

「……そうですか。それは毎日さぞ大変でしょう。あの御方はそもそもおモテになりますし、人をからかうような所がありますからね。夕鈴殿、自分の身を守れるのは結局は自分自身。勉学に励む弟さんの為にも、気をしっかり持ってバイトに励んで下さいね。何かあれば私がいつでも相談に乗りますよ。」
優しい上司の言葉に、夕鈴は泣けた。
「ありがとうございます!李順さんみたいな真っ当な方が上司で良かったです。私、からかわれても真に受けないで、真面目にコツコツ頑張ります!」
さっそく気合を入れて掃除してきますと、きびきび去っていく夕鈴の後ろ姿を見送って李順は小さく息を吐いた。
やれやれ。これで彼女はしばらくの間、墜ちることなく保つだろう。
黎翔は、二ヶ月間毎日追撃の手を緩めず夕鈴を攻めに攻めている。
最初は気に入ったおもちゃを扱う子どものようにも思えたが、ここ最近は恋愛にどちらかと言えば疎い李順の目からしても本気で彼女を墜とすつもりなのだと分かる。
あれだけやられてまだ甘い雰囲気にならないというのはもはや彼女の才能とも言える。
(本当に、長いこと勤めてもらいたい所なんですがねぇ。……今度はあちらに聞き取りを行いますか。)
李順は執務室へと赴いた。

「節度ある距離?十分心掛けているつもりだが。」
きょとんとした顔で答える主に李順は溜め息混じりにどこがですか、と一応尋ねる。
「口付けたいところをくっつくギリギリで見つめる程度に留めているし、触っているのも手や頬くらいだし。本音を言えば、毎日の仕事終わりに彼女のニーソを私の手で脱がしたいところなんだが……」
「……それ、絶対夕鈴殿には言わないで下さいよ。また拒絶されますから。」
痛む頭を抑えつつ、李順は呆れた顔で忠告する。
「まあ、一旦その話は置いておいて。元帥閣下、例の件ですが、明日の午後彼女がこちらに参ります。夕鈴殿のこともありますから、今回からは彼女一人に依頼することにしてますからね。確認の上契約書に更改了承のサインを。」
黎翔は面倒臭そうにあー、と唸った。
「気が滅入るな。」
「そう仰らずに。帝国軍のイメージアップ戦略において彼女は必要不可欠ですから。」
そもそも貴方の国民に対するイメージが悪すぎるんですと言われ、黎翔は不承不承ペンを走らせた。 
「そう言えば元帥閣下。夕鈴殿が私に相談を持ちかけてきましたよ。余り過度に接しないよう配慮なさって下さい。彼女、怯えてましたよ?」
眼鏡を冷たく光らせて、李順は牽制した。
「このままでは住み込みバイトを辞めて実家に帰りたい、なんて言い出すんじゃありませんかね。」
それだけ言うと執務室を後にした。

翌日。
「おはよう夕鈴。今日も君は愛らしいな。」
いつもの黎翔からの挨拶に夕鈴は違和感を感じる。
(おかしい。いつもならそう言いながら私の髪やら手にちゅって口付けしようとするのに。……なんていうか、距離があるっていうか。)
くっ付いてきたら思い切り拒絶しようと意気込んでいた夕鈴は、ほっとしたような、なんだか物足りないような肩すかしをくらったような気分だった。
(も、物足りないって何よ!良かった、よ。良かった!うん!)
夕鈴は自分の心の動きに動揺し、慌てて話を逸らした。
「そう言えば、何だか今日は本部のみなさん朝からざわざわしてますね。そわそわと言うか。」
黎翔のスケジュールに目を通していた李順が夕鈴の問いに答える。
「今日は、帝国軍のPR大使が契約更改に来るんですよ。その席に貴女も同席して頂きます。」
「えぇ!?そんな、私で大丈夫でしょうか。」
「寧ろ貴女程の適任者はいないと思われます。彼女は帝国海軍の氾将軍の愛娘でして、こちらとしても無碍に扱いたくはないんですが……」
ちらりと黎翔を見やる。
その意味深な目線に夕鈴ははっとした。
(まさか、女好きの元帥が手を出そうとしてるとか!?PR大使っていうくらいだから相当美人なんだろうし……)
それを防ぐ為にも自分が同席した方が良いということなのだろう。
夕鈴はちらりと黎翔を見やってから少し不機嫌そうにぷいっとそっぽを向いた。

午後になり、約束の時間に執務室に入ってきたその少女を見て、夕鈴は度胆を抜かれた。
なんて可愛いのだろう。
豊かな黒髪にちょこんと軍帽を乗せ、華奢な鎖骨が見えるようカッティングを施された膝丈の軍服から覗く手足は、触れたら折れてしまいそう。
長く濃い睫毛が彼女の白い頬に影を落とし、より一層の肌の美しさを演出している。
(ふわぁー、すっごい美少女……世の中こんな子もいるのね。でも、それにしても……)
下を向いたままぼそぼそと挨拶の口上を述べた彼女は連れ立ってきた兄、水月の影に隠れるように立っている。
よく見ると震えているようである。
戸惑った夕鈴がそっと黎翔を見ると、またかとでも言いたげにうんざりしているし、李順も李順で『だからあなたが適任なんですよ』とでも言いたげにこちらを見ている。
(ようするにこの子、狼元帥が怖すぎてまともな話ができないのね……)
「あの、元帥閣下、李順さん。もし、契約書の内容やスケジュールの確認でしたら、私が資料をお渡ししましょうか?先ほど私も説明して頂いてますし、女同士の方が彼女も気楽かもしれませんし。」
夕鈴の提案に、彼女は恐る恐る顔をあげた。
夕鈴を見つめる黒曜石のような瞳がきらきらと輝いた。
「そうしてくれるか、夕鈴。君は本当に優しいな。」
きゅっと、一瞬だけ夕鈴の手を握って黎翔は席を立つ。
「もうすぐ氾将軍も到着する頃だ。李順、水月、私たちは会議室へ。」
部屋を出る直前、手助けしてくれたことが嬉しくて、黎翔は夕鈴の額へ口づけしようとした。
だが真っ赤になって怒ったような顔をした夕鈴を一目見て、苦笑しつつ諦めた。
「では、後を頼む。」
三人が退出し、二人きりになった途端。
美少女は捲し立てるように話しだした。
「あのっ、貴女が今皆様に注目されている汀 夕鈴様ですか!?わたくし、氾 紅珠と申しまして海軍将軍 氾 史晴の娘でございます。ああ、一度お会いしてみたかったんですの!」
小さな愛らしい両手でぶんぶんと握手を交わされ、夕鈴は驚いた。
「はぁ、あの、初めまして。えっと紅珠さん。」
「嫌ですわ。わたくしの方が年下なのですから、紅珠とお呼び下さいませ、夕鈴お姉さま!」
(お、お姉さま……)
どうやらこちらの方が素であるらしい。
驚きはしたものの、青くなって震えているよりは親しみやすいし、なんだか面白い子だなと思った夕鈴は彼女の望むように砕いた口調で話しかけた。
「じゃぁ、紅珠。あのー、さっきあなたが言ってた『注目されてる』って一体なに?」
聞かれた紅珠は桃の花もかくやといった様子でふふふと笑った。
「決まってますわ。あの恐ろしい狼元帥を夢中にさせている婚約者でいらしゃるのでしょう?わたくしも兄の水月や父からたくさんお姉さまの話を聞いておりますの。」
「ちょ、ちょっと待って。婚約者って誰が言ってるの!?」
「誰も何も、帝国軍の皆様そうおっしゃってます。それになにより、元帥閣下自らが『彼女ほど愛しい存在はいない』とか、『今まで彼女を知らなかったことは私にとって大きな損失だ』とか、それはもううっとりするような言葉をたくさん口になさってらっしゃいますもの。兄もよく耳にしているそうですわ。」
紅珠は両手を胸の前に組んで頬を染め、ほぅっと溜息をついた。
「麗しいですわー……数多の女性に求められながらも、真に女性を求めたことのなかった冷酷非情の狼元帥。その凍れる心を溶かしたのは、そば近く仕える美しく穢れのない乙女の、純真で高潔な恋心―――」
話の前半で、真っ赤になって動揺していた夕鈴は、何だか別の世界に入ってしまった紅珠を止めるタイミングを逃した。
(やめてっもう……元帥の話だけでも恥ずかしいのになんの嫌がらせなの!?帝国軍には李順さん以外まともな人っていないの!?)
「あの、違うから……本当に。私は婚約者じゃないし、ただのバイトなの。あの人は私をからかってるだけだと思う。」
放っておけばひたすらポエムっぽい言葉を紡ぎ続ける勢いの紅珠に、遠慮がちに声をかけ用意しておいた茶菓を出す。
「違うのですか?」
応接用のソファに腰かけた紅珠は桃色の唇に指をあて、こくんっと首を傾げた。
「わたくしの眼には、先ほどのお二人の様子は恋人同士にしか見えませんでしたけれど。」
「……私は庶民だし、見た目だってパッとしないし。モテる方だから誰にでもそういうこと言ったりするんじゃないかしら。」
あの人の横に並んで似合うのは、紅珠のように家柄も良く、見た目も華やかな女性であるはずだ。
(バイトの衛生兵なんかじゃなくて。私は、特別でも何でもない。だから浮かれたりなんて、しない。)
そう思う自分の胸がなぜか少し痛くて、夕鈴の顔は曇った。
そんな様子を見て、紅珠はしばらく何か考えた後でゆっくりと口を開いた。
「……今まで、わたくしはPR大使の仕事で何度かこちらにお邪魔する機会がございました。その時々他の女性と一緒にこのお仕事をしていたんですが、ほとんどの方は元帥閣下とお近づきになることが目的でいらしたようです。」
やっぱりもてる方なんだわ、と夕鈴の胸に小さい棘がちくりと刺さる。
「あの方は近寄る女性を拒むことはなさいませんでいたが、まるで物でもご覧になっているかのように心動かされている様子はございませんでした。先ほどの様に、お姉さまの顔を見ただけで嬉しそうになさったり、照れた顔を見て困ったように笑ったりなさっていてわたくしは本当に驚いたのです。本当に、お姉さまのことがお好きなんですわ。」
きっと初めての本気の恋ですわ、と最後に念まで押して、紅珠は微笑んだ。
「だから、お姉さまも少し信じて差し上げてみたらいいんじゃないかと思いますの。」
きらきらと輝く瞳に正面から見つめられて、夕鈴は視線を外すことができなかった。
(本気の。恋―――?)
またお会いしたいです、と言って紅珠が去っていった後も、頭が混乱していて夕鈴はしばらく執務室で茫然としていた。
もし。
もしもあの甘い囁きや、蕩ける様な眼差しが自分にだけ向けられた心からのものだとしたならば。
「私……どうしたらいいんだろう……」
夕鈴のつぶやきは誰もいない執務室に小さく響いた。

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コメント

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2015-05-22 Fri 15:51 | | [ 編集 ]
Re:
あい様。
明日が待ち遠しいですね!
私は本誌読んだ後、色んな方のネタバレSSを求めて放浪する予定です(他力本願とも言います!)
どっぷり狼陛下な1日にしたいです(^-^)

ニーソ問題ですが、確かに履いたままも捨てがたいですね!
さらに上に白シャツ着てちょっと抗ってくれたりしたら最高なんですが…(←オイ)
元帥はどっちもイケる口なんだと思います。
とりあえずどうせ着替えるなら私が脱がせたい、みたいな感じかと。

2015-05-22 Fri 22:44 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-05-22 Fri 23:29 | | [ 編集 ]
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2015-05-23 Sat 11:02 | | [ 編集 ]
Re:
あい様。
私としてはギリギリ推奨派なので彼シャツは最高です!
夕鈴の彼シャツかわいいでしょうねぇ~。

ドラゴンボール狂の男4歳と本屋で速攻本誌ゲット致しました。
スイミングのテスト前の時間ぎりぎりを狙った計画で無事ゲットです!
今回もう、感動です。
陛下よかったね!と何回心で叫んだことか。
浩大も克右さんも出てきたし大満足でした。
2015-05-23 Sat 18:01 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
ゆらら様。
かわいい女の子昔から好きなんです。
明らかに着る目線ではなく楽しむ目線で白シャツサイコーと思ってます!
華奢な子が着てくれたら、もう。
ああ、あやしい奴だとばれてしまったっ!!(二次書いてる時点でもう十分ばれてる気もしますが…)
ちなみに男性のシャツも好きです!眼鏡シャツ男子とか。
2015-05-23 Sat 18:09 | URL | rejea [ 編集 ]

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