星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

白陽帝国の花嫁 5

こちらはパラレルです。
苦手な方はスルーなさって下さい。

サブタイトル「筆頭書記官の思惑」
ちょっと影の薄かった李順さんは何を考えているのか。

それにしても自己満足の為にダラダラ書いてしまってます。
読んで下さってる方、すみません。
紅珠なんてまだ影も形も出てないのに…もう5話…ひぃぃ…





ほんのり染まった首筋に狼が牙を立てようとしたまさにその時。
「元帥閣下、夕鈴殿。どうかなさいましたか。」
突然、涼やかな声が私室に響いた。

「あ、李順さん!大変なんです。元帥閣下が体調不良で、胸が痛いそうなんです。軍医の方を呼んだ方がいいでしょうか。」
夕鈴は軽く抱き合うような体制のまま、慌てて現況を報告した。
狼元帥の突き刺すような視線を意に介する様子もなく、李順は微笑んで言った。
「大丈夫ですよ、夕鈴殿。元帥閣下はお疲れが溜まるとこういうことが時たま起こるんです。温かいものを飲めば落ち着きますから、お茶を淹れてきてもらえますか。」
「はい!すぐ用意します。」
飛び立つように部屋を駆け出す夕鈴を見送ると、李順は黎翔の机に目をやる。
彼女の資料があるところを見ると、どうやら思惑通り浩大が介入したようだ。
それに先程の二人の様子。
明らかに昨日までとは打って変わった距離だった。
どうやら元帥閣下は、夕鈴に近付く為の最適解を探り当てたようである。
「随分仲良くなられたようで、ようございましたね。」
穏やかに微笑む李順に対し、黎翔は冷たい視線を送った。
「貴様、故意にあのタイミングで入ってきたな。」
万事に於いて卒のない李順が、ノックも無しに入室した。そこに明らかな意図があったことは明白だ。
「貴方の為を思えばこそです。せっかく縮まった距離を御自分で台無しになさるおつもりですか。」
黎翔は言葉に詰まった。
そう言えば、浩大はこうも言っていた。
先程の克右を参考に、と。
「つまり、適度な距離を保ちつつ徐々に懐へ入り込むしかないということだな。」
「まさにその通りです。よろしいですか、これは長期戦です。まずは真面目な夕鈴殿と信頼関係を築くのです。その上で貴方が彼女を煮て喰おうが焼いて喰おうが、お好きになさったら良いのです。」
常に女性問題でグチグチ文句を言っていた李順らしからぬ発言に、黎翔は眉を顰めた。
「李順、お前何を企んでいる?」
「企むなどと人聞きの悪い。私は貴方様が初めて自分から女性を求めたのが嬉しいのです。どうせ気になるのなら、しっかり向きあうのがよろしいかと。この際ですから、国を統治する者としてしっかり成長なさいませ。」
ぴしりと言い切られて、黎翔は黙って頷いた。
(まあ、いい。李順が邪魔立てしないなら好都合というものだ。例え何かを企んでいようが、私としては彼女の身も心も手に入れられれば良いのだから。)
狼は今後の夕鈴との接し方を頭の中で戦術を練るように、易々と組み立てていった。


夕鈴が紅茶を手に戻って来たところで、李順は後を彼女に任せて退出した。
先程は危ない所だった。
彼女にまた拒否されて元帥閣下がこれ以上不機嫌になっても困るし、万が一上手いこと最後までいってしまってもそれはそれで困る。
李順は今しがたまで扉の内に密かに取り付けていた小型の盗聴器を軍服のポケットへ仕舞った。

汀 夕鈴。彼女は本当に稀有な人材だ。
あの狼元帥がどうしても近くに置きたいというからどんな女性かと思えば、とにかく真面目で馬鹿が付くほど真っ直ぐ。さらに素晴らしいことには世間ずれしておらず、色気が全く無い。
なんと理想的な。
この小娘なら元帥閣下に色仕掛けを目論んだりせず、実直にバイトに勤しむだろうと踏んだ李順の考え通り、夕鈴は毎日懸命に働いている。
さらに、最大の功労は勝手気ままな黎翔を軍本部へ縛り付けられることだ。
彼女に近づきたい黎翔は今までのようにふらりと脱走する事なく、夕鈴がいる軍本部へきちんと居るようになった。
(前に何かの拍子にへそを曲げた際には、5日間姿を眩ませられましたからね……)
その時は本当に大変だった。休む間もなくフォローや調整に走り回った李順はその時の事を思い出してぶるりと震えた。
だがしかし。
脅し文句に服従する日々は終わりだ。
李順が怖れているのは傍若無人な狼元帥であって、知り染めた恋に一喜一憂する若者では無い。
(お二人にはせいぜい付かず離れず、私の手のひらの上で『楽しい恋愛の駆け引き』を演じて頂きましょう。そしてできる限り長期でバイトに励んでもらいますよ、夕鈴殿。この私の心の安息の為、ひいては白陽帝国の為に。)
満足そうな李順が廊下を進もうとした時、前方の壁に寄りかかった浩大の姿が見えた。
「やっぱなんか企んでたか。おかしいと思ったんだよな。李順サンがバイトの個人情報ホイホイ渡す時点でさ。」
ニヤニヤと笑いながら浩大が言う。
「貴方こそ、私の盗聴器の電波を傍受してましたね。」
「はは。お互いバレてたってわけね。」
冷たく言う李順に浩大は軽く答える。
「まあ、貴方は期待通りの働きをしてくれましたからね。取りあえず御礼を言いますよ。」
表情を変えずにそれだけ言って去っていく李順の背中を見送り、浩大は小さく肩をすくめた。
(狙いは大体想像つくけど、やっぱこの人は頭でっかちなとこあるからなー。どうせ『恋に翻弄される若造なんて簡単に操れる』とか思ってるんだろうけど、若さゆえの勢いほど怖いものなんてねーのになぁ。ま、どっちに転がるにしろ面白いからオレはイイけどね。)
せいぜい高みの見物と洒落込もう。
浩大は鼻歌を歌いながらこれからの日々に思いを馳せた。



後記。
李順さんの狙いはこんな感じです。
やっぱりへたれているだけじゃ李順さんぽくない!ということで。

李順さん 策略中

これではまるで悪魔…
私の中では李順さんは見下すポーズが似合う人です。


このままではあまりにもアレなので、どこでアップしようか迷っていた「キラキラ恥じらい李順さん」も貼っときます。
夜の作法を指導した時です。→正妃養成講座~夜の作法編~

夜の作法編 李順

「おやめになって……」の模範演技中のイメージです。


何だか並べたら余計ひどい気が。

関連記事
スポンサーサイト
白陽帝国の花嫁 | コメント:4 |
<<白陽帝国の花嫁 6 | ホーム | 白陽帝国の花嫁 4>>

コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-05-17 Sun 00:33 | | [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-05-17 Sun 09:37 | | [ 編集 ]
Re:
あい様。
いつも本当にありがとうございます!あい様の半分はやさしさでできてます!(もう半分は可愛さとブラックで)

次の話から元帥、夕鈴、李順の心理戦っぽく書きたいなーとは思ってたんですがイマイチブラック感が足りませんでした。

李順さんが一人いるだけで、大抵のことはなんとかなりそうですよね。
優秀すぎる側近。しかし彼女はなし。
すばらしいです。
2015-05-19 Tue 01:24 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
ゆらら様。
長い話でも、と言って頂けるとほっとします。
とにかくダラダラ書いてしまう悪癖持ちなので…

今回の李順さんとか、何かた企んでるキャラは書いていて楽しいです。

暴走…そのうち夕鈴のニーソ脱がすくらいは頑張ってもらいたいです!
どうせ夕鈴にめちゃくちゃ怒られるんでしょうけど。

2015-05-19 Tue 01:29 | URL | rejea [ 編集 ]

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

| ホーム |