星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

白陽帝国の花嫁 4

こちらはパラレルです。
苦手な方はスルーなさって下さいませ。

サブタイトル「狼元帥の戦略」
がっかり狼に、そろそろ本気だしてもらいたいと思ってはいるんですが、イマイチまとまらず……



夕鈴は驚いた。
具合が悪いだなんて。
慌てて黎翔の顔を見ると、何だか痛いような、悲しいような、なんとも言えない表情を浮かべている。
「大変!どうしたんですか、元帥っ。」
すかさず走り寄り、間近で再度顔色を見るが、もともと綺麗な白い肌が青ざめているようにも見える。
(私、衛生兵としてバイトに来てるのに……自分の感情を優先して、元帥を避けて。ちっともこの人の健康とか気にしてなかった。……最低なのは私だわ。)
黎翔の体調不良に気付かなかった自分の不甲斐なさに夕鈴は唇を噛んだ。

黎翔はというと、自らの変化に対応しきれず戸惑っていた。
(何だ。さっきの夕鈴と克右の様子を見てから胸が痛いような、苦しいような……)
腕に触れられた克右の手は払いのけられることもなく、夕鈴は少し頬を染めて優しい微笑みを向けていた。
自分が一度も与えられたことのない、この二週間無意識の内に焦がれていた光景をまさか克右に見せられることになるとは。
思い返すとさらに胸が痛む。
苦しい。やるせない。
この胸に湧く感情は。
(嫉妬、か?この私が―――)
ふと自分の前に立つ夕鈴を見上げると、険しい顔で唇をぎゅっと噛みしめている。
(やはり、私は君に笑いかけてはもらえないのか。こんな表情しかさせられないとは……)

「え、と、あの……元帥??大丈夫、でしょうか。」
一方で夕鈴も戸惑っていた。
どうも今日の元帥閣下は変だ。
いつもの余裕たっぷり、自信満々な態度はどこへ行ってしまったのか。
(さっきから私を見上げて来るこの表情は何?……なんか弱ってるって言うか……狼元帥っていうより、捨てられた犬みたいな……?)
そんなに具合が悪いのだろうか。
さすがに心配になり、椅子に座った元帥の横に回って、背中をさする。
「まだ痛みますか?顔色もよくないですし、お疲れなのかもしれませんね。」
夕鈴の小さな手が優しく背中に触れて、黎翔は驚いた。
初めて夕鈴から触れられたその暖かさに、胸が熱くなる。
撫でられる仕草がとても心地よくて、胸の痛みが薄まった気がする。
「すまない。少しよくなってきた気がする。」
情けなくも少し潤んだ瞳で彼女を見上げると、今までにない反応が現れていた。
「あっ……そ、それは何よりです!じゃぁ、もう少しこうしてさすってますね。」
どうも頬が赤いような。
声もいつもより上ずっているような。
そしてなによりこうして触れていてくれる。
急にどうしたというのだろうか。

そう言えば、浩大が母性本能がどうしたこうした言っていたのを思い出す。
(もしかすると……これか?)
白陽の軍神・黒き狼として恐れられる黎翔は、もともと軍事戦略を練るのは得意中の得意だ。
先ほど浩大からもたらされた彼女の情報と現在の二人の状況を合わせて鑑みると、一つの可能性が浮かぶ。
浩大も言っていたではないか。『攻略するのは色恋だって一緒だ』と。
どんなに固い砦にも、突き崩す為の取っ掛かりは必ずどこかにあるものだ。
お固く、真面目な夕鈴の攻略法―――
「夕鈴……すまないが、座っているのが辛くて。少し体を預けてもいいだろうか……?」
潤んだ瞳のまま、少し恥じらうように小さく声をかける。
「っ―――はっはい!!それくらいでしたら……」
やはり。
彼女は頼られたり、甘えられるのに弱いのだ。
黎翔はまんまと夕鈴の肩口に頭を寄せて抱きかかえてもらうことに成功した。
夕鈴はさらに細い腕をそっと回して、黎翔の背中を撫で続けてくれる。
「……大分楽になってきた。しばらくこうしていても、良いだろうか?」
「えっ!?ええ、はい。あの、仕事、ですから!!」
真っ赤な顔をして夕鈴は答えた。

(あーーーー!どうしたの私!なに、ちょっとかわいいとか思ってるのよ!この人は恐ろしい狼元帥!セクハラ元帥なのにっ!!うぅぅ……でも、なんかこう、涙目で訴えられると弱いわ……垂れさがった幻の耳としっぽが見えてきそう……って、病人を前に何考えてるの私ったら。衛生兵として働きにきてるんだから、しっかり務めなくちゃでしょー!)
夕鈴は夕鈴で、いっぱいいっぱいに色々考えていた。
考え過ぎていまいち彼女は気付いていないが、はっきり言って抱き合っているような体勢である。
黎翔は夕鈴の肩先で、彼女の髪の香りと柔らかな感触をうっとりとした気分で味わっていた。
優しく撫でられ続ける手のひらと、細い体から伝わる熱が体全体に染み渡っていくようだ。
(人の体に触れることが、こんなに幸福な気分になるものだとは知らなかったな……)
ふと眼線を夕鈴の顔へ向けると、すぐ近くに薄らと赤く染まった華奢な首筋が。
―――軽く触れているだけでこんなにも素晴らしいなら、味わってみたらどのような気分になるのだろうか。
狼はすぐ目の前の獲物に舌舐めずりをすると、本能の赴くままにゆっくりと口を開けた。



後記。
元帥、待てできない……本当に質の悪い人になってきました。
邪念の無い小犬ではなく大人の犬のイメージです。
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コメント

あぁ、ここでそんなことしたら←どんなこと?(笑)
元の木阿弥ですよ(^^;;
2015-05-16 Sat 13:21 | URL | くみ [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-05-16 Sat 15:28 | | [ 編集 ]
Re:
くみ様。
完全に舐め回すつもりです!(←オイ)
同じスペックで苦労せず育ったらどうなるかという仮定で性格付けしたら我慢の出来ない人になってしまいました(^_^;)
2015-05-16 Sat 19:39 | URL | rejea [ 編集 ]
Re:
あい様。
原作や他の方のSSの陛下、私もあまりの格好良さにニヤニヤしつつ萌えてます!
自分のを書かずに逃避してます(笑)

所詮私の書くものですので、大人の展開にはなりません。すみません~(T_T)
2015-05-16 Sat 20:34 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-05-16 Sat 21:51 | | [ 編集 ]
Re:
あい様。
や、優しいーーー…!ありがとうございます。
残念元帥、誰かに似てると思ったら息子に少し似てました(T_T)
低スペックな元帥って…将来心配です。

本誌発売、待ち遠しいですね。
第一部クライマックス!二人はどこまで進むんでしょうか??気になります。
2015-05-17 Sun 00:16 | URL | rejea [ 編集 ]

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