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正妃養成講座~黎翔先生の指導計画~

注)原作69話の後くらいを想定しています。コミックス派の方はご注意下さい。
正妃養成講座補習編の陛下視点です。
夕鈴視点はこちら→正妃養成講座~黎翔先生の特別補習編~


いつものように政務を終わらせて、夕鈴の元へと急ぐ。
我ながら歩調が浮足立っているのがわかり、苦笑する。
歩調をできるだけ落ち着かせ、後宮の回廊を歩いているところで老師と出くわした。
「老師、今日の夕鈴への講義の様子はどのようであったか。」
彼女は真面目だ。無理をし過ぎていなければいいのだが、心配になってつい口を出してしまう。
「ははっ……その、いささか無理をさせてしもうたようでして……」
拱手しながらどことなく歯切れの悪い老師を不審に思う。
「無理、とは?……答えよ、張元。」
なかなかはっきりしない老師にいらついて冷たく視線を送ると、しぶしぶ口を開いた。
「……閨房術について指南したのですが、あの娘には早かったようでございます。顔を真っ赤っかにして叫んでおりました。」
なんてことだ。
せっかく気持ちが通じて、これからゆっくり、じっくり、たっぷりかわいい反応を味わおうと思っていたのに。
これではいつぞやのように悲鳴を上げて避けられかねない。
「これよりそのような講義は一切無用だ。」
きつく言い捨てて、夕鈴の元へと急いだ。

立ち入り禁止区域の牢の近くまで来ると、何やら夕鈴と李順の話声が漏れ聞こえてくる。
どうも言い争っているようだ。
牢の前まで来たところで、信じがたい光景が目に飛び込んできた。

椅子に腰かけた李順に軽くのしかかるように、上から両手を顔に添えてじっと見つめる夕鈴。
これは何だ。
途端に自分の体が冷たくなる。
「李順。我が妃と二人きりで何をしている?」
途端に青ざめる李順。
慌てて手を離す夕鈴。
「あの、正妃としての特訓をしてもらってたんです。さっきまで浩大もいましたし。」
二人を相手に、閨房術の特訓を―――?
思わず懐の短刀を掴み、浩大の気配に向けて投げ放つ。
「まずは夕鈴と二人で話をしたい。貴様らは下がれ。」
自分の声が遠くで聞こえる気さえする。
そんな私の様子を見て、李順と浩大は何も言わず去って行った。


静まり返る牢内。
夕鈴は何故怒られているのか分からない様子で私を見つめている。
「……それで、我が妃よ。なぜ君は李順に覆いかぶさって顔を近づけあっていたのだ?」
君は、私の花嫁なのに。
夕鈴との距離を、一歩一歩縮めながら問いかける。
「あの、だから正妃としての特訓で。どうしたら陛下に喜んでもらえるのか一緒に考えてもらっていて……」
じりじりと後ずさりながら困ったように言う。
私を喜ばせたい?それなら、何故。
さらに近寄り、寝台に躓いた夕鈴をそのまま押し倒す。
「―――それを君は夫である私ではなく、他の男に聞いた、と?」
その、細くしなやかな指で李順の顔を掴み、その薄紅色に染まる頬で浩大に微笑みかけたのか。
感情がままならない。
自分の荒い息遣いがうるさい。
不安と嫉妬に騒ぐ鼓動が邪魔だ。

そんな私を夕鈴はじっと見つめる。
私の顔、手、喉元にゆっくりと潤んだような視線を向けた後、上気した顔で小さく呟く。
「……陛下以外の人を、男の人だって思ったこと、ない―――」
そして恥じらうように視線を外された。
「っ―――」
なんという殺し文句。
彼女の艶を帯びた瞳に今までにない熱を感じる。
まずい。
動けずにいる私を彼女の潤んだ目が再び捉える。
誘うように開かれた、小さな桃色の唇。
それが目に入った瞬間に理性が焼き切れ、気がついたときには夕鈴に口づけていた。

今までのような優しいものでなく、深く夕鈴の中へ入り込む。
初めて感じる暖かい、彼女の直接の温度。
すべての感覚が舌先に集まったかのようで、ただただ、彼女を求める。
しばらく茫然としていた夕鈴の体に力が入り、抵抗される。
くぐもった声が直接口に響き、甘く熱い吐息が入り込んでくる。
駄目だ。逃がさない。
私を喜ばせる方法が知りたいと言ったのは、君だ。
いくらでも教えてあげる。

段々と夕鈴の体から力が抜け、こわばっていた舌先が柔らかく私の動きを受け止める。
愛おしい。
苦しいほど、君が。
このまま溶け合ってしまいたい。

十分に口づけを堪能し、その甘い余韻に息を吐きながら顔を離す。
紅く色づいた頬と、大きな瞳にたくさんの涙が光っている。
細い首筋に顔を寄せようとすると、ぎゅっと目をつぶって、全身をこわばらせ、顔を背ける。
小刻みに震える夕鈴の切ないほどのかわいらしさといじらしさに、燃えるような体と裏腹の考えが浮かぶ。

このまま、一度に全て味わい尽くすのは惜しすぎる―――
今は耐えろ。黎翔。
極上の兎はゆっくりと、少しずつその味を確かめなければ。

「……今日はここまでで許そう。ただ、私にその身体全てを捧げる覚悟を。愛しい妃よ。」
彼女の耳のごく近いところで囁く。
そして、少しだけいじわるがしたくなった私は、柔らかい桃色の耳朶を食み、そこにそっと舌を這わせた。


その瞬間、夕鈴の首筋が一気に沸騰した。
「きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
絹を裂くような悲鳴。
しまった。調子に乗りすぎた!
慌てて体を離そうと体重を後ろにかけた瞬間、彼女の細い腕に思いっきり突き飛ばされた。
「ぅわっ……」
完全に動揺していた私は無様に寝台の上から転げ落ち、床に尻もちをついた。
あまりのことに茫然とする。
狼陛下が、妃に突き飛ばされて寝台から転げ落ちる?

「ごっごめんなさいへーかっ。大丈夫ですか!?」
優しい夕鈴が心配して駆け寄ってくる。
よかった、嫌われてはいないようだ。
安心したら途端に笑いがこみ上げてきた。
なんとか堪えようと黙ったまま俯いていると。
「どっどこか、怪我をなさいました!?」
ものすごくおろおろしている。
「どうしよう、やっぱりどこか怪我をされたんだわ。……ろ、老師を呼んできます!!」
赤くなったり青くなったり、泣きそうになったり、パタパタしたりしながら立ち上がる夕鈴の手首を捕まえた。
あー、ごめん。もう限界。

「ぷっ……あっははははははは!」
本当に君は最高だ。
いつだってとびきりに僕を驚かせて、楽しませて、ドキドキさせてくれる。
嬉しくて、床にしゃがみこんだまま夕鈴を膝の上に抱きかかえる。
「変な事気にしたり、勉強しなくたっていいよ。僕は本当にこのままの君にいつだってドキドキしてるんだから。だから僕の事喜ばせたいなら、直接僕に聞いてね。かわいいお嫁さん?」
僕の言葉に不思議そうな、納得いかないような顔をする夕鈴。
どうせ君のことだから、『王様を突き飛ばすなんて妃失格だ』なんて思ってるんだろうな。
こんなに面白くてかわいい夕鈴に無駄な知識なんて植え付けさせたくない。

君を無垢な少女から女へと変えるのは、僕だけの仕事だよ。お嫁さん。
これからじっくりしっかり、たっぷり教えてあげるから、覚悟しておいて。




後記。
妃(仮)視点がものすごく難しかったおっさん(仮)の私ですが、陛下視点は書いてみてとても楽しかったです。
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コメント

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2015-05-02 Sat 05:44 | | [ 編集 ]
Re:
あい様。
ちょこちょこ書きためたものをスマホからアップしました。
いつもコメントして頂いて本当にありがたいし嬉しいです!
萌えて頂けたようでほっとしました(*´▽`*)
原作陛下も早くがっつかないかなーと自重しつつ期待してます(笑)
2015-05-02 Sat 16:37 | URL | rejea [ 編集 ]

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