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ただ、蒼く 2

春コミに行けずじまいだったrejeaです←
行かれた方楽しかったでしょうか??いいな!!!

さて、なんとか息子の卒業前に上げられました、過去捏造シリーズ瑠霞さま編その2です。
覚えてる方いらっしゃるの?ってくらい放置してましてすみません!
相変わらずの自己満話ですので苦手な方はそっ閉じしてやって下さい。

ご注意
過去を捏造しております。
瑠霞さまのお相手を捏造しています。

諸々大丈夫そうな方は続きからどうぞ。



「ただ、蒼く 2」


「ふうん。面白いわね。時期によって潮の流れを利用して航路を決めているなんて考えたことも無かったわ」
「蒼玉は海運を主軸とした商業国家です。幼い頃から海に慣れ親しんだ者が多いのです」
目立たぬよう、侍女の衣装に身を包んだ瑠霞は興味深げに頷いた。
昨日の約束通り、こっそりと後宮を抜け出してきてみれば、彼は昨日と同じように静かに佇んでいた。
そして、自国について淡々とではあるものの、饒舌に語った。
また、瑠霞による白陽の諸々を聞きながら携帯用の筆を執り、黙々と書きつけ、また要所要所で目を輝かせて質問を寄こす。
どうやら無愛想に見えるのは興味があることと無いこととに対しての差が思い切り出るからであって、全てに対してつっけんどんであるわけでもないらしい。
彼は至極好奇心旺盛で、勉強熱心な性質であるということが、短い時間でもよく分かる。
瑠霞は思わずふう、と溜息を吐いた。
「貴方って、王宮では生き辛そうな人よねぇ。学者の方が合っているんじゃないの」
「ええ、よく言われます」
「やっぱりね。それにしたって王宮勤めなんだもの、もう少し愛想よくした方がいいと思うわ」
「私の愛想を必要とする人間はそうもいないので、問題ありませんよ。
仕事に支障があるわけでもないですし」
彼は真顔でそう言い、瑠霞はやれやれと肩を竦めた。
「蒼玉国の王宮って、白陽よりもおおらかなのかしらね」
「そうですね。商業国家ということもあって、王宮内もこちらより自由な気風です。
それに、女性も政治や商いの表に立つことも多いですよ」
「女の人も?」
「はい。白陽ではあまり考えられないでしょうね。
こちらでは女性は男性を影で支えることが美徳であるようですし」
瑠霞の白い頬が興奮からほんのりと桃色に染まった。
「それ、すごく素敵ね。女性でも自分の力で道を切り開けるなんて」
「瑠霞姫には我が国の気風は合うかもしれませんね。
姫君であられるというのに、随分と行動力のある御方ですから」
「……それ、褒めてるわけ?」
「私は単に事実を申し上げただけです」
じとっと睨んだ瑠霞の視線を交わして彼は木陰から立ちあがった。
「そろそろ時間ですね。本日はありがとうごいざいました」
瑠霞に手を差し伸べて立たせてから、彼は律儀に頭を下げた。
王宮に向かって去っていくその後ろ姿を見送るうちに、気付けば瑠霞は声を上げていた。
「ねぇ!明日も来られる?
できれば、貴方が滞在してる間、出来る限り蒼玉国のことを知りたいわ」
彼はぱちぱちと蒼い目をしばたたいた後、密やかに笑った。


後宮に戻ってからも、去り際のあの顔が、暫く頭をちらついて離れなかった。
侍女が茶を淹れながら、そんな瑠霞を見て微笑んだ。
「瑠霞姫様、いいことでもあおりですか?」
「どうして?」
「お顔の色がいつもよりよろしいようだったので」
「そう?
……うん、そうね。久しぶりに楽しい話を耳にしたのよ」
「最近はご気分が優れなかったようですもの。よかったですわ」
「これで縁談の話が全部きれいさっぱりなくなったら、言うこともないんだけどね」
瑠霞の軽口に、侍女は困ったように目をさまよわせた。
「あの、その件で陛下よりご伝言がございます。
……そろそろ、心を定めよ、と」
瑠霞の切れ長の瞳が、すっと細められる。
「……そう」
もう残された時間は少ないのかもしれない。
ならば、今だけは楽しませて貰おう。
風変わりな男の語る、遠い異国の地で生き生きと暮らす女性たちの話を。
瑠霞は静かに目を閉じた。
瞼の裏に過ったのは、話の中でしか聞いたことのない、どこまでも続く蒼い海原だった。


それからの数日を、瑠霞は変わらず侍女の衣装に身を包んで彼と過ごした。
瑠霞付きの侍女は、瑠霞が誰と忍び会っているのか感づいたものの、黙って衣装を用意してくれた。
瑠霞姫様の嬉しそうなお顔を見たらお諌めできません、と、年嵩の侍女は困ったように笑うので、瑠霞は何となく面映ゆく、彼女から視線を反らした。
「あのね、私はただあの人の話が面白いからまた会いたいだけよ」
「それでも姫様、また会いたいとお思いになるのでしょう?」
侍女は微笑んだ。
「気付かぬうちに、始まっているということもございましょう」



そもそも、恋とはもっと相手のことを思って胸が苦しく切なく痛むものではないのか。
居てもたってもいられぬほど、相手を慕わしく想うものであるはずだ。
今まで目にした本や耳に挟んだ話では、ほとんどそういうものだとされていた。
瑠霞は自分と淡々と語らう男を眺め、ふうと息を吐いた。
「やっぱり、全然違うと思うのよね……」
「何か仰いましたか?」
「……いいえ、なんでも」
この男と居ても、そんな気持ちになったことなど一度もない。これは恋とは無縁なはずだ。
ただ、なんの嘘も飾りもない彼と居ると、不思議とささくれ立った心が凪いで行くようだった。
静かな青い目を見ていると、肩の力が抜けていくようで、それが妙に心地良い。
「貴方の青い目はご両親譲りなの?蒼玉の方には多いのかしら」
「母に似ました。私が小さい頃に病で亡くなったのですが」
「そう……お父上も王宮に勤めているの?」
「いえ、父も数年前に」
「……知らないこととはいえ、ごめんなさい」
「いえ。……そう言えば、母は王族の末流の出だったのですよ」
気まずげに俯いた瑠霞の気を引くように、彼はそう告げた。
「王宮に出仕していたとはいえ、父は大した身分でもありませんでしたので、結婚する際は相当反対されたそうです」
「それでもご両親は添い遂げられたのね」
「はい。仲の良い両親でした。
ですが、父は母を亡くした後ずっと悔いていました。
自分と結婚したことで、母が実家との縁を断たれてしまったことを。
病に倒れた母を、家族に会わせてやることもできなかったと、よく言っておりました」
「……きっと、それでもお母様は幸せだったのよ。家族を捨ててでも一緒になりたい方と巡り合えたのだもの。
私は、そう思うわ」
「貴女にそう言って頂けると、説得力がありますね」
そう呟いて、彼は口の端にほんの少し笑顔を浮かべた。


その夜、瑠霞は夢を見た。
蒼い海原を、幾艘もの船が渡っていく。
大きな白い帆が風を孕み、空と海の蒼さの中で一際目を引いた。
船を指差してはしゃぐ自らの傍らに居たのが彼だと気付いた時に、瑠霞は目を覚ました。
どうせ夢ならもう少し長く見ていたかったのにと、ぼんやりとした頭で思いながら、瑠霞はもう一度眠りの淵へと落ちていった。



翌日、瑠霞は使節団を歓待するための宴に出ていた。
身に纏うのは、友好の証として贈られた蒼玉国の衣装。
白陽の幾重にも重ねられた衣服よりも軽くしなやかなそれは、すらりとした瑠霞の肢体に実によく映えた。
本当のところは知れないが、正妃は気分が優れないとのことで欠席していた為、瑠霞が国王である兄の横へ座している。
近頃では正妃の式典や宴への参加も途切れがちになっているのが、重臣どもの噂に拍車をかけていた。

王はあまりにもあの下賤な舞姫に心を砕き過ぎている。
だからこそ、正妃もこういった場にお出にならないのだろう―――

瑠霞はぼんやりと宴の会場を見渡した。
王族の席から、使節団の末席にいるであろう彼は遠い。
顔を見つけ出すことなど出来そうにない。
退屈な宴など早く終わればいいのに、と思っていたその時、兄が立ち上がった。
先程までのざわめきが嘘のように静まり返る。
王はその場を見渡しながら朗々と告げた。
「せっかく皆が集まっている場だ、一つ慶事を伝えたい。
―――ここに居る、我が妹瑠霞の婚儀が決まった」
瑠霞は思わず腰を浮かしかけた。
何の話だ。私は何も聞いていない。
瑠霞の戸惑いなど気にも留めず、王は告げる。
「相手は此度の使節団の接待役を務めた、黄だ。
皆、二人を祝ってやってくれ」
会場は一気に熱気と歓声に包まれた。
次々と上げられる祝辞の声が、無意味に耳を通り過ぎていく。
やられた。
まさか兄がこのような手段で自分を追い込むとは思っていなかった。
瑠霞は扇の影できつく唇を噛んだ。
相手として呼ばれた黄は、何度も瑠霞に手紙を送ってきた男だ。
確かあれは正妃と縁続きの間柄であったはず。
瑠霞とあの男が夫婦となることで、確かに後宮の情勢は安定を見るだろう―――

瑠霞はもう一度会場の隅々まで見渡した。
なぜか、無性に彼の顔が見たかった。
それでも、瑠霞からあの蒼い瞳を見つけ出すことは出来なかった。

逢いたい。
彼に。どうしても。

瑠霞が恋の始まりを知ったのは、自らの恋に終わりを告げられた瞬間だった。





またしても、続きます!
すいまっせん!!
月曜は卒業式でそのあとしばらく期末で地獄。
4月は入学&上司の転勤で頭が灰になってると思われますが、頑張って生きていきたいと思います。
てか上司代わり過ぎじゃね??
私が悪いの?w
また一から事務教え直すのメンドクサイなぁー……




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瑠霞 | コメント:10 |
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コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017-03-25 Sat 21:06 | | [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017-03-25 Sat 23:33 | | [ 編集 ]
私生活の変化点は忙しいですね。体調壊さないよう、色々頑張って下さいね。続きは気長に待ってます。
2017-03-27 Mon 14:46 | URL | しそ [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017-03-31 Fri 21:39 | | [ 編集 ]
ゆらら様。

覚えていて下さってありがとうございます♪
嬉しい…(;∀; )

続きは脳内では完成してます!
そのうちどうにか吐き出すかと‼←頑張れよ
お忙しいとのこと、ご自愛下さい

2017-04-01 Sat 22:11 | URL | rejea [ 編集 ]
あい様。

お祝いデーだったんですね♪
おめでとうございますっ


いやん、小学校怖い((( ;゚Д゚)))
息子の学校、この辺では一番のマンモス校らしく…
田舎出身の私は本気で様子が分からないんですよねぇ
まぁ、なるようになるだろう!なってくれ!!
2017-04-01 Sat 22:16 | URL | rejea [ 編集 ]
しそ様。

お優しいコメントありがとうございます!
健康診断でいつも健康的な数値を叩き出してるが故に、あんまり心配されない私の心に沁みます…(;ω;)
2017-04-01 Sat 22:20 | URL | rejea [ 編集 ]
くれは様。

おお!!帆船の舳先の女神!
素敵な描写をありがとうございます!
まさに瑠霞さまのイメージぴったりです
恋した誰かに連れ出してもらうお姫様じゃなくって、自分で嵐の荒海を突き進んでくお姫様(笑)

私の書いてる瑠霞さまにもどこまでも切り開いて貰えるように頑張ります!
2017-04-01 Sat 22:25 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2017-04-11 Tue 08:30 | | [ 編集 ]
あい様。

うああぁいつもありがとうございますっ‼
踏み踏みして頂いたうえに何か来ると!??
やだぁ至れり尽くせり…(///∇///)

正座&全裸待機してます!
2017-04-12 Wed 17:31 | URL | rejea [ 編集 ]

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