星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

きみの熱 2

残暑お見舞い申し上げます。
今回のお話は「きみの熱」のお嫁さんサイドとなっております。
結婚後のお話なのですが、続きものです。
「きみの熱」をお読みでない方はそちらからどうぞ。

ご注意。
直後から始まるので、一応お気をつけ下さい。
↑ここにきて下さる方は「なんの直後?」なんて聞かない気がするけど、さてはこれが連帯感というやつか!




「きみの熱 2」


いつか、こんな光景を目にした気がする。


夕鈴は今にも閉じてしまいそうな瞼に逆らって、それを見上げた。
上下する肩の動きに合わせ、目の前をさらさらと揺れる黒髪と、薄明かりの中で珠のような汗を散りばめた均整のとれた肢体。
汗ばみ上気した顔と、は、と短く息をつく薄く開かれた口。
すっきりとした顎からつう、と伝う汗が、裸の胸に落ちかかる様すら愛おしいと思う自分は、傍から見れば完全に溺れているに違いない。


半ば夢うつつでそっと手を伸ばして、額の汗を拭ってやれば、彼はくしゃりと子供のような笑顔を浮かべて、夕鈴の上に体を沈めた。
ぎゅう、と抱きしめる腕と押しつけられる胸板がいつもよりも熱いのは、まだ先程の熱が体中に籠っているからで、彼にその熱を宿したのが他ならぬ自分であることが、彼女の胸を甘く満たした。

「……重いし苦しいです、へーか」
笑いながら文句を言えば、腕を緩めた黎翔はすぐ隣りへと体をずらした。
「ごめん、夕鈴があまりに可愛くて」
今度は彼が彼女の額に張り付いた前髪を払ってやりながら言う。
「あんなに熱の籠った瞳で見詰められたら、嬉しくなってしまう」
いたずらっぽく覗きこむ彼の紅い瞳に、またも鼓動が跳ねる。
「な、なに言ってるんですか。もうっ」
先程まで、これ以上ないほど身を寄せ合い、何度となく甘い睦言を囁かれていたのに、それでもなお身体中が熱くなるのは、こちらを見つめる彼の笑顔が酷く煽情的だからに違いない。


思えば、結婚前からいつも彼には惑わされっぱなしだ。
もちろん結婚してからもそれは変わらないが、それでも臨時妃の役割を担っていた頃に比べれば、少しは耐性がついたのではないだろうかと、夕鈴はそっと溜息をついた。


「疲れたろう?明日は朝早いと聞いたし、もう休もうか」
ふわ、と大きな手が優しく頭を撫でて、その心地よさに瞳を閉じる。
目を閉じる直前に見た黎翔の顔が、夕鈴の脳裏にある光景を鮮明に浮かび上がらせた。


真夏の、眩しいまでの日差し。
濡れた衣服を纏ったしなやかな身体。しっとりと濡れた黒い髪。
射し込む日差しを反射した水面が作り出す、ゆらゆらとした白い光の筋。
そしてその中で微笑む、息を呑むほど美しいひと。


あの時、確かにその姿に目を奪われた。
そして心のどこか、自分でも気付かないほど微かに、その肌に触れてみたいと思ったのだ。
当時は自分の中にそんな熱があることすら知らなかったけれど。
でも、今ならそれが悪いことでも、間違ったことでもないのだと分かる。
愛しいひとを欲することが罪ではないのだと彼女に教えたのは、すぐ横に眠る彼自身だ。


夕鈴は指先でそっと彼の鎖骨に触れた。
以前なら考えることすらなかったけれど、今はこうして触れることができる。
彼を求める熱が自身の身の内にあることを、素直に愛おしく思える。


鎖骨をなぞり、するりと頬に手を滑らせ優しく撫でてから、夕鈴は彼の胸元に身を寄せた。


今日も明日も明後日も。
貴方と一緒にいられますように。


小さく呟かれた彼女の声と遠く鳴く虫の音が、眠りの淵にいる黎翔の意識を心地よくかすめて、夜に溶けた。



終。


暑中お見舞いお嫁さん編


前回の陛下と同じテーマで描いてみたお嫁さんです。
テーマ→「滴、光、透明」
全然雰囲気違う(笑)

思えば夏のはじめに描いたような。
時の流れ怖い。
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コメント

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2016-08-23 Tue 07:00 | | [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-08-23 Tue 08:48 | | [ 編集 ]
ふへっ(笑)←

良いよね~事後の何とも言えぬ色香漂うお話は←オヤジ。

あ、スミマセぬ。せっかくのお話しを一気にゲスい雰囲気に覆してしまって…せっかく皆様ゲスい自分を覆い隠しておられるのに(タブン私だけ)ww

更新ありがとうございます。
2016-08-23 Tue 14:47 | URL | 行 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-08-26 Fri 19:11 | | [ 編集 ]
あい様。
書いてる途中でイマイチ何が言いたいかわからなくなってきて、「うーんどうすっかなこれ」と思ってた話なので、気に入って頂けて嬉しい‼
私も牛になりますっ!もうもうもうっっ(*´▽`)

前回の台風は働いている間に通りすぎて行きました……
また近付いてきてて嫌ですね(´・ω・)
早く遠くに過ぎ去って欲しい!
2016-08-26 Fri 22:08 | URL | rejea [ 編集 ]
novello様。
いらっしゃいませ!
そうです、お色気妖怪が散々揉みまくってこうなったんじゃないですかね!?
しつこそうだし←異論は認めます( ´∀`)

裸祭り、なんかこう、熱気が凄そう‼とにかく凄そう‼
熱気と迸る妄想にたぎる祭りですね(笑)

2016-08-26 Fri 22:13 | URL | rejea [ 編集 ]
行様。
ふへへっ。
いいですよね事後←( ゚∀゚)人(゚∀゚ )
あっちの方もチラリズムということで(笑)

大丈夫です、私がゲスいのなんてきっと皆様ご存知です!
そもそも隠せてないし(笑)
2016-08-26 Fri 22:16 | URL | rejea [ 編集 ]
あい様。
カウンター踏み踏み、ありがとうございます!
なんか送りつけよう( ´∀` )b←押し付け

そう、最近すっかり潜りに潜り……
胃痛は良くなってきました!
気抜けはしてますが(´ω`;)
こちらこそこっそり前作読ませて頂いたりしてますよ、ムフフ←ストーカー返し

2016-08-26 Fri 22:25 | URL | rejea [ 編集 ]

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