星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

きみの熱

暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
軽率に陛下を肌蹴させたり何やら透けさせたりするのには、絶好の時節ですね!
……おや、私だけですかそうですか。

心の中で仲間だよって叫んでくれてる人が居るのを心底祈ってます。

それではお仲間の方は続きへどうぞ!
そんな気持ちを込めて描いたラクガキと、臨時妃設定のお話がございます。

おはだけ!?嫌ですわ、お下品なんだから!!

という方はご遠慮くださいませ。
ちなみに全然Rな話ではございませんので、そっち方面期待された方はすみませんです。






とある昼下がり。
夕鈴はべたべたと身にまとわり付く衣装に、うんざりと眉をしかめていた。
常より薄い素材であるとは言え、仮にも一国の妃の衣装。
下町の、すうすうと風通しのよい麻素材のそれとは、やはり勝手が違うのだ。
加えて言えば、先日、山間の星離宮に訪れたばかりの為、なおさら王都の熱気が身に堪える。
あそこでは、朝夕には山から川の上を渡って、寝室までひやりと心地のよい風が吹き抜けていたものだ。
「また、行きたいなぁ」
机に突っ伏してそう口にすれば、ほんの一瞬あの涼やかな風に包まれた気がしたが、それはやはり気のせいでしかなく。
「やっぱり、暑い……」

力なく呟く妃の様子を陰から見ていた侍女たちは、努めてさりげなくこう切り出した。
「失礼致します、お妃さま。
こうも暑いので、行水などいかがでしょうか。湯殿にご用意致しますわ」
ぱあっと、輝くような笑顔で振り返った妃を眩しげに見つめた侍女たちは、嬉しげに笑い合いつつ準備に取りかかった。



薄い湯浴み着を羽織った夕鈴は、いそいそと湯殿へと入って行った。
いつも侍女による介添えを断っているので、今日も広い湯殿には彼女一人だ。
「昼間から呑気に行水なんて贅沢な気もするけど、薪代かからないし、いいわよね」
ふんふんと鼻歌混じりに手桶に水を汲み、一気に肩口に向けてかけ流そうとしたその時。

「誰か、そこにいるのか」

あまりにも聞きなれたその声が、湯殿の壁に反響しながら鼓膜を打った。



「介添えなら要らぬと言ったはずだが」
声と共に、ざばり、ざばり、という水音が段々と近づいてくる。
どうやら、声の主は真っ直ぐこちらへ向かっているらしい。
「し、失礼しました!すぐに出ていきますのでっ」
距離のある今ならまだ、自分だとは気づかれていないはずだ。
夕鈴は慌てて湯桶をそこら辺りに放り投げ、出口へと踵を返した。
なぜ、どうしてこの時間に彼がここにいるのだろうか。
侍女は何も言っていなかったので、何かの手違いだとは思うが。
それにしても、こんなにも間の悪い間違いはないではないか。

夕鈴は混乱しつつも、なんとか引き戸へと辿りつき、震える手をかけた。
一刻も早くここを出なければ。
しかしそこに、無情にも声が掛けられる。
「そこに居るなら、体を拭く布を取ってくれないか。
水に浸かりすぎたか、少し冷えてしまってな」
背後、それも、思っていたよりも随分近くから声がした。
ひっと、喉の奥で悲鳴を飲み込んだ夕鈴は、わたわたと布を探してひっ掴んだ。
恥ずかしいし、とにかくさっさと逃げ去りたいが、それで彼が風邪をひいたなどということになれば、それこそ「プロ妃」を目指す彼女の矜持に関わる。
恥ずかしさのあまりに職務を放棄するなど、言語道断。
働かざる者食うべからず。
つまり、この場ですべきことは、迅速に布を手渡し、風のように去る。
これだけだ。

「どどどど、どうぞっっ」
前を向いたまま、後ろ手に布を掴んだ手を勢いよく差し伸ばした。
サクッと手にとってくれればお役御免とばかりに、ずずいと差し出された布は、何故か夕鈴の手に留まったままだ。
「早く布っ!冷えちゃいますよ!」
振り向かぬままでぶんぶん手を振り回しても、何故か布は一向に手の中から消えていかない。
一体なんなんだ。
この人はどういうつもりなんだ。
だんだんとイライラしてきた夕鈴の耳に、くすりと小さな笑い声が届いたのはその時だった。

「どうやら我が妃は、夫を焦らすのが大層得手と見える。
そのように頑なに振り向かないでいられると、どんな手段を使ってでもこちらを向かせたくなるのだがな」
くつくつと笑いながらも、その言葉には狼の牙が見え隠れしている。
「なっ、陛下!ふざけてないで、早く体拭かないと風邪ひいちゃいますよ!」
もう一度後ろに突き出した布をばさばさ揺らしてやる。
だが、それでも布が受け取られることはない。
「おや、そのようにまだ私を焦らすのか。意地の悪い兎だな」
あっさり煽られて、夕鈴は眉をつり上げて振り向いた。
「だからっ!演技は今どうでもいいから、早く拭いてって言ってるじゃないですか!」

振り向いた先には、湯浴み着ごと濡れそぼった黎翔が立っていた。

暑中お見舞い


「まさか君に湯殿で介添えをしてもらうことがあるなどと、思ってもみなかったが」
塗れて肩先に張り付いた襟を指先で摘みながら、黎翔は薄らと微笑んだ。
その間も、つやつやとした濡羽色の髪からは、ぽたりぽたりと雫が伝い、落ちてゆく。
開け放たれた天窓から差し込む真夏の日差しが、くっきりとその美しい肢体と、そこに纏わる雫とを照らして、夕鈴は我知らず息を飲んだ。
浮いた話一つなく、家事に仕事に邁進してきた彼女にとって、それはあまりにも凶悪な光景だったのだ。
まるで宝石を砕いたように光る水の粒も。
普段は目にすることのない、すっきりとした鎖骨と、そのくぼみに悩ましく溜まりゆく雫も。
そしてその光を全身に纏ってゆるりと微笑む彼自身も。

「せっかくの機会だ。君に手ずから拭いてもらうのも悪くないな」
固まった夕鈴の頬に大きな掌を添えて、ことさらゆっくりと撫でながら黎翔は囁いた。
意地悪く細められた紅い瞳に、目を見開いた自分の顔が映っているのを夕鈴はぼんやりと見つめていた。
その紅い瞳がだんだん近づき、ついには顔の真横に濡れ濡れと輝く黒髪が並んだ。
すぐ目の前には、何に隠されることもなく露わになった彼の胸元。
常より少しひんやりとした肌が、湯浴み着越しに触れた―――


びくりと身を竦めた夕鈴の耳元で、ふっと息を吐くような音がした。
黎翔はくすくすと笑いながら、顔を離して夕鈴の手から布を受け取った。
「……なんて、ね」
頭から布をひっかぶって、わしゃわしゃとぞんざいに濡れた髪を拭う。
「せっかくだからいい演技の練習になるかと思って。滅多にない機会でしょう」
あはは、と笑う黎翔の顔を見ながら、夕鈴の顔は一気に真っ赤に染まっていった。
「、の……」
「何?ゆうりん」
「陛下の……」
「うん?」
「このっっ……お色気魔人-------っっ!!」

それだけ大声で叫んで、夕鈴は脱兎のごとく湯殿から駆け出して行った。
黎翔はしばらくぽかんと後ろ姿を見送っていたが、やがてふうと溜息を吐いた。
「やっぱり、夕鈴っておもしろいなぁ」


王宮から戻り、夕鈴のところへ顔を出す前にこざっぱりしたくて行水をしていたところ、侍女から彼女も湯殿に入れてもよいかと先触れの声が掛けられた。
ならば彼女が来る前に急いで出ようと思ったが、気が変わった。
要は、意趣返しのつもりだったのだ。
あの星離宮で、彼女はそれこそ全身ずぶ濡れで、細い肢体に薄い禊の着物一枚を貼りつけてふらふらしていた。
細い肩も、なよやかな腰も、ぴんと張った太腿も。
全て露わにしながら、伴も付けずによくもまぁ、と呆れた溜息しか出なかった。
遭遇したのが自分だったからよかったものの、もしもよからぬことを考えている輩だったらどうするつもりだったのだろうかと、黎翔はこっそりと頭を抱えた。
とにかく着替えを、と言えば、ようやく自分の悩ましい姿を自覚したのか大声を上げて慌てていたが、いくらなんでも無防備すぎるし、無自覚すぎる。
自分が年頃の―――それも十分魅力的な女性であるという認識が、どうも彼女には欠けている気がしてならない。
そんなわけで、逆の立場を味わってもらったわけなのだが。

黎翔は視線を落として自分の掌を見つめた。
湯浴み着越しにすこしだけ触れた彼女の熱い体が、そしてそこに宿る熱が。
まるで彼の手に移ってしまったかのように、そこだけほんのりと温かく感じた。
「やっぱり、夕鈴には勝てないな」
ふ、と笑って、黎翔は湯殿を後にした。






終。

臨時妃夕鈴、すごい可愛い…
これを書く為に久々に読んだらなんていうかこう、にやにやしました。
ご夫婦可愛いんじゃぁ…

ちなみに私、チラリズム推奨派なのでこういうイラストは描いていて楽しいです。


毎日暑いですが、お互い体を大事に致しましょう!




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臨時妃 | コメント:14 |
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コメント

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2016-08-11 Thu 13:35 | | [ 編集 ]
私はチラリズムもモロダシも大好きです(笑)←

恥じらいってナンでしたっけ?忘却の彼方へ旅だってしまった様です。

2016-08-11 Thu 15:59 | URL | 行 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-08-12 Fri 10:08 | | [ 編集 ]
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2016-08-12 Fri 19:00 | | [ 編集 ]
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2016-08-13 Sat 10:21 | | [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-08-13 Sat 15:29 | | [ 編集 ]
あの素敵な絵はこのお話のためだったのですね\(//∇//)\もう素敵すぎて電車の中でニヤニヤしちゃいました。
私もチラリズム派です。水が滴るって更に素敵♡
また描いてください
2016-08-18 Thu 07:53 | URL | まるねこ [ 編集 ]
あい様。
匂い…腐敗したチョウチンアンコウの匂いですかな<(_ _)>ゲザー
臨時妃すごいかわいいですよね!
なんだあれ。なんだあのバカップル。
つい李順さんみたいな顔しちゃう!!

指の調子はいかがですか?
私が沈んでる間に素敵なやつを仕上げてらっしゃるなんて、もう眩しいっす!師匠(T_T)
2016-08-20 Sat 00:25 | URL | rejea [ 編集 ]
行様。
まさかのモロダシ推奨ヽ(^o^)丿
さすがっす!!

恥じらいとは。
きっとモロダシについて語る我らには備わっていないw
2016-08-20 Sat 00:30 | URL | rejea [ 編集 ]
yawayawaほっぺ様。
おお、いらっしゃいませ!

あっちこっちでそんなステキ祭りが開催されていたとは……
潜り過ぎてて気付かなかった(T_T)
一人スケスケ祭りでした←ヤバイ
2016-08-20 Sat 00:34 | URL | rejea [ 編集 ]
もも様。
ひゃぁぁぁ!いらっしゃーせぇ!!(居酒屋風)
こちらこそいつもこっそり読ませて頂いております、ごめんなさい!
そして萌えをありがとうございます!

気に入って頂けて嬉しいです♪
チラリズム、いいですよねぇ。
諸手を上げて叫びますが、私も大好きです←しつこい
2016-08-20 Sat 00:40 | URL | rejea [ 編集 ]
けい様。
コメントありがとうございます♪

おお、ここにもチラリ派が\(^o^)/
最近、断然夕鈴より陛下が描きやすくて…
これは久しぶりに気に入ったラクガキなので、そう言って頂けると嬉しいです!
2016-08-20 Sat 00:44 | URL | rejea [ 編集 ]
あい様。
カウンターお祝いコメ、ありがとうございます!
そっか、お酒解禁なのですね!!
私の胃腸の調子が治ったらブラウザ越しに一杯やりましょう!
てか、いつ治るんや……

うちの息子、未だに胸触ってくるんですけど、どうしたら(T_T)
精神的に卒乳できてないのでは!?
2016-08-20 Sat 00:48 | URL | rejea [ 編集 ]
まるねこ様。
コメありがとうございます♪
お話は完全後付けでした!
「あー暑いしすけすけの陛下見たい…絵描くか…」
から始まりましたw
煩悩しかない!
2016-08-20 Sat 00:51 | URL | rejea [ 編集 ]

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