星空の隙間

狼陛下の花嫁SS・イラストなど

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恋の後先

お久しぶりです!
忙しくなると体調を崩す軟弱者rejeaです。
やっと復調してきたっす。

久方ぶりのアップ、内容は方淵×紅珠です。
ですが私が書くと、このカップリングどうも甘い感じにはならないようです。
ビジネスパートナーというか戦友というか。
なので「恋」ではなく、その「後先」です。
そりゃあもう甘くない。つまり、私しか楽しくない←オイ
大丈夫ですか?

それでも読んでくださる方は続きへどうぞ。
多分一年~数年後の話です。
無駄に長いので休みつつどうぞ(^_^;)




柳 方淵は、そもそも女という生き物がそこまで好きではない。どちらかと言えば苦手である。
彼女らは大して意味のないことをさも大事なように騒ぎ立て、それに対して思う様意見を述べれば、一方的に冷たい男だと決めつける。
黙っていたらいたで気難しいだの顔が怖いだの、散々な評定を下される。
目付きが悪いのは生まれつきだ。放っておいて貰いたい。
時たま好意的な態度をとられることもあったが、そういった女は「大臣の子息」であり、「陛下直属の官吏」であることに焦点を当てていることくらい、恋愛方面に興味が無く、仕事においては有能な方淵だけに厭というほど透けて見えた。
即物的で打算的。分かりやすいが、人としての興味を持つに至らない人間と人生を共にするなど真っ平だった。

兄が王弟擁立を企てる闇商人と繋がっていたことが明らかになったことで、方淵自身の生活にも思わぬ変化が起きた。
いくらボンクラとは言え、経倬は柳家の総領息子。
方淵自身は家督にはさほどの興味も持たずに居たし、寧ろ気楽な次男という立場から家の為というより、心酔する陛下の為に動けることを幸運と捉えていた。
だが、そんな方淵の意思とは無関係に、兄の仕出かした一件から一族内で彼をこそ柳家の跡継ぎに、という機運が高まってしまったのだ。
それに伴い、方淵のもとにはそれこそ降るように縁談が持ち込まれた。
すっきりとした容貌に加え、若くして国王陛下の目に留まるほどの有能さと、大臣の子息という立場から、もともと「是非とも娘に会ってくれ」という話は多かった。
だが今までは「跡継ぎたる兄が身を固めぬうちは、私が先にというわけにも参りますまい」で逃げおおせていた。
その点だけは愚かな兄に感謝していた方淵だったのだが、あの兄はこちらの予想を遥かに越えるほどの愚か者だったというわけだ。
「全く……やつのせいでとんだ迷惑だ」
相手は後宮入りをしてもおかしくないほどの有力貴族の子女だけに、会わねば角も立つ。我を通せば要らぬ波風を立てるだけだ。
仕方なく、方淵は眉間に皺を刻み兄への恨みを呟きつつ、重い足を縁談先へと向ける日々を送っていた。

今日会ったとある令嬢は、さすがに後宮入りの有力候補と噂されていただけあって美しい人だった。
黎翔のあまりの妃への執心ぶりに、後宮入りを粘っていた親もとうとう諦めたらしい。早く嫁ぎ先を決めねば、花の盛りは過ぎてしまう。
親から言われれば、今までは目にも留めていなかった男と縁談をせざるを得ない彼女もまた、苦労の多いことだと、方淵は内心でぼやいた。例えそれが貴族の子女としての当然の務めだとしても。

実際会ってみれば、洗練された所作も、此方に投げ掛ける微笑みも、非の打ち所が無い人だった。
方淵はそんな彼女に問いかけた。
貴女にとって結婚とはどのようなものなのか。
私は未だによく分からぬのだ、と。
彼女は花のように美しい微笑みを浮かべて答えた。
「良き方へ添い、良き家に嫁ぐ。それこそが女の幸せにございましょう」
彼女の答えは、最もなものだ。
よき縁を掴むことで一族にさらなる繁栄をもたらすべく、幼い頃から育てられてきたのだから。
それは彼女たちの命題であり、戦いでもある。
頭では分かっているのに、なぜか息苦しい。方淵は早々に座を辞した。
帰る道すがら、なぜかあの妃の顔が頭にちらついた。
落ち着きなく、がさつで、あけすけで。
妃の立場でなくなろうと、陛下の為にと大声を張り上げて妓館に潜入捜査までやってしまう、全く妃らしくない彼女の顔が。



「水月、貴様今日はどういう理由で出仕しなかった」
「いやあ、新しい鯉のえさが手に入ったものだから喰いつきを観察しようと思ってね」
「日がな一日鯉を眺めているのか貴様は!」
「うーん、さすがに半日くらいかな」
方淵は苛立ちを禁じ得ず、紫檀の机をぶっ叩いた。卓上の茶器がガチャリと音を立てる。
「おやおや、荒れているね。縁談疲れの鬱憤を私にぶつけられるのは困るなあ」
水月は余り困った風もなく、のほほんと茶を啜った。
「……何故、知っている」
ギッと睨み付ける方淵に、水月はあくまでも優雅に微笑みながら茶菓を勧めた。
「何故もなにも、官吏なら皆が知っていると思うよ。
人気急上昇の婿がねとして、王宮中の噂の的だからねぇ。
ほら、これは東方の珍しいお菓子だよ。一つどうだい?」
「菓子など、どうでもいい」
方淵はげんなりと肩を落とした。
王宮中の噂ということは、陛下にも現状は伝わっているはずだ。
私生活が多忙であろうが、気持ちを削がれるほど憂鬱であろうが、仕事に支障をきたすわけにはいかない。
気合いを入れ直し、明日からさらに政務に邁進しなければ。
眉間の皺を深くして、方淵が溜め息をついた時。
「お兄様、新しいお茶をお持ちしましたわ」
小鳥のような声が、二人のもとへ届いた。

「方淵殿、ごきげんよう。
早速ですが、お妃様には最近お会いになりまして!?」
「……貴女も相変わらずのようで何よりだ」
方淵は多少うんざりしながら茶を入れ換えに来た紅珠に形ばかりの礼を返した。
この娘も兄の水月に負けず劣らずの変わり者だ。
名門中の名門、氾家の息女。見目麗しく、学芸にも書画にも通じる彼女はそれこそ後宮の主として最有力候補であった。
だが、この娘は会うたびにあの妙な妃への愛着を全開に、大きな瞳を輝かせてこちらへ突進してくるのだ。
妃が元気だと聞けば大輪の花が咲いたかのように大袈裟に笑い、炎波の姫が乗り込んできたと聞けばぼろぼろと涙を溢して、身を揉んで妃を心配する。
方淵は、はっきり言えば紅珠のことを少し異常な娘だと感じている。
「炎波の姫君という障害を乗り越えて、お妃様は前にも増して陛下のご寵愛を一身に受けて輝いていらっしゃるのでしょうね……
ああ、お二人の愛はやはり永遠不滅!気高く尊いものなのですわっ!」
紅珠は何時もの様に方淵の返事を待たずして、自らの妄想の世界へ既にどっぷり身を沈めている。
「貴女は何故そうもあの妃に執心するんだ」
方淵はふと以前からの疑問を口にした。
そもそも正妃候補の紅珠と、素性不明の寵妃がどういうわけか友情を育んでいたことが、方淵としては心底意外だったのだ。
紅珠はすべすべとした頬をうっすらと染めながら微笑んだ。
「……お妃様は私の永遠の憧れなのです」
あの妃のどこに憧れるべき点があるのだろうか。
家柄よく、見目麗しく、才気に溢れた紅珠。
彼女は、あの妃が持たないものを全て持っている。
さらに問おうとした時、紅珠付きの侍女がやって来た。
「お嬢様、お父上がお呼びですよ。
というか、年頃の男性の前にそんなにホイホイ顔を出されてよろしいんですかぁ?」
「あら、問題ありませんわ。私と方淵様は共にお妃様をお支えする同志ですもの!
それでは方淵様、ごきげんよう」

何度言っても同志であるという設定を覆さない紅珠の後ろ姿を見やって、方淵は益々解せないと言いたげに顔をしかめた。
水月はそんな方淵を見て笑う。
「顔に『分からん』って書いてあるよ」
「貴様の妹は相当の変わり者だな」
その言葉を受けて、水月は長い睫毛を伏せて茶を含んだ。
方淵も、淹れ替えられた茶を口にした。さすがに氾家の茶葉は極上で、口当たりも良かった。
「……紅珠は、少し周りが見えないところもあるけれど、割と聡い子でね。
政略も互いの損得も関係なく、心から愛し合うということがいかに得難い立場なのか。
それを判っているからこそ、絵空事の恋物語にあれだけ夢中になったんだと思う」
水月は何を思ったか、堪え切れずに笑いを漏らした。
「だからこそ、お妃様はあの子にとって絵空事の中でしか存在しないと思っていた真実の愛の象徴で、憧れの存在なのさ。
王の唯一の寵妃という立場にも関わらず、何の損得も無く、ただ心から陛下のことを思い続けている方だから」
普通の女性ならああはいかないよね、とくすくす笑う水月に、方淵は何も応えなかった。
ただ、なぜ見合い相手の家から辞する時に唐突にあの妃の顔が浮かんだのか、何となく腑に落ちた。
これまで得体の知れない変わり者だと思っていた紅珠の輪郭が、初めて明瞭になった気がする。
「……どちらにしろ、変わり者には違いない」
そう呟いた方淵の口許が微かに笑みを含んでいることに目敏い水月は勿論気付いていたのだが、「そうだね」とだけ返して茶杯を傾けた。


それから数年。
紅珠はいかに縁談を勧められても
「私の人生はお妃様と創作活動に捧げます」
と言い切り、どこにも嫁がなかった。
業を煮やした父、史晴が誰か心に留めた者は居ないのか、と懇願するように尋ねると、紅珠は暫し小首を傾げて黙考した後に口を開いた。
「柳家の方淵様になら嫁いでもよろしいですわ、お父様」
この一言が氾家に大激震をもたらしたのは勿論言うまでもない。
だがしかし。方淵以外の男と添うならこのまま出家して創作活動に専念すると言い張る娘に、史晴は折れざるを得なかった。
ダメ元で話を持ち込んだところ、
「正気か、氾 史晴」
と苦々しい顔をした柳義広もまた、堅物過ぎて縁談が纏まらずにいる彼の息子に
「ああ、別に構いませんが」
とあっさり返されて暫し茫然自失の態であった。
どう考えても性質の違う二人に共通するものとはなんなのか。
両大臣は、一瞬の後にある人物の顔を思い浮かべた。
それぞれの子が、妙に肩入れしているあの娘――――
あの、ちょっと毛色の変わった唯一の花がもたらした新しい風は、王宮どころか氾柳両家にも予想外の嵐となって吹き荒れたというわけだ。
恐るべし。狼王の寵妃、汀夕鈴。
史晴も義広も彼女の影響力をすっかり見誤っていたのだった。





「それでは方淵様、本日も恙なくお勤め下さいませ」
新妻の紅珠は、夫である方淵の襟元を整えながら微笑んだ。
そっと方淵の手を取り、大事そうに抱えるかと思いきや、ぐっと片手で握りしめ、もう一方の手はびしりと勢いよく王宮の方向を指し示す。
「今日も張り切ってお妃様の敵を駆逐してきて下さいませっ」
「……何度も言うが、私は陛下の為に働いている」
「お妃様の敵は陛下の敵!同じことではないですか。
つまり私たち夫婦にとっても共通の敵!!」
ね?と愛らしく上目づかいで見上げる妻の顔を、方淵は眉間に皺を刻んで見下ろした。
「貴女は人の妻になっても相変わらず妃、妃だな」
呆れたように言う方淵の顔を仰ぎながら、紅珠は笑う。
「方淵様こそ、相変わらず陛下一筋ではありませんか」
ぐっと詰まった方淵を楽しげに、どこか嬉しげに見やった紅珠は今度は両手で方淵の掌を包んだ。
「もちろん、方淵様は私に『自分とお妃様のどちらが大切だ』などとくだらないことはお聞きになりませんでしょう?
私も貴方に『陛下と私、どちらが一番か』などと、一生涯問うことは致しませんわ。
だって、貴方と私とは、似た者同士ですもの」
だからこそ私と添う気になったのでしょう、と続けられて、方淵は堪え切れずに噴き出した。
世の大半の男たちと同じように、どうやら自分もまた妻には敵わぬ夫になってしまったらしい。
「貴女は本当に変わり者だな」
「方淵様こそ」
紅珠はそっと方淵の手の甲に口づけた。
「いっていらっしゃいませ。お妃さまの輝かしい未来のために」
「ああ、行ってくる。より良い陛下の御代のために」

変わり者の新婚夫婦は、周囲の心配を余所に、なんだかんだで楽しく日々を過ごしているらしい。




後記。
この二人がくっつくとしたら、やっぱり夕鈴を核にして、という関係なのかなぁと。
方淵は恋愛だけではなくて、人として理解出来る点があったり、興味を持った相手じゃないと結婚しないと思うのですがどうでしょう。
(でも多分隠れツンデレ。視察とか行ったらちゃんと紅珠にお土産とか買ってくるタイプと見た)

とりあえず、白陽国の未来は明るい。





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方淵と紅珠 | コメント:12 |
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コメント

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-04-10 Sun 01:33 | | [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-04-10 Sun 07:50 | | [ 編集 ]
あらあら、体調大事!もっと図太くなると体も丈夫になりますよ…私の様に(笑)
この2人は間違いなく同士ですねー(*^_^*)公式でくっついたら悶絶の上ローリングしますww
2016-04-10 Sun 08:15 | URL | 行 [ 編集 ]
久しぶりにお話が読めて嬉しいです。
私も先々週から先週にかけては妄想が湧きましたが、今週は花粉症がひどくてさっぱりです。クシャミ、鼻水が止まらず集中力がありませんm(__)m
方淵、紅珠は公式でもくっついてほしいですね。きっとこんな感じだと思います(^^)
2016-04-10 Sun 17:34 | URL | まるねこ [ 編集 ]
聖璃桜様。
近いと言っていただけると嬉しいです♪
水月さんの未来図は全く想像出来ないんですが、方淵ならこうかな…とずっと考えていたので、やっと書けてスッキリしました。
2016-04-11 Mon 08:00 | URL | rejea [ 編集 ]
あい様。
可愛がって頂けて半裸こっくーの筋肉も喜んでいることでしょう(笑)
SSネタ降って来たらまた献上します(^-^)/

方淵、奥手(というか恋愛スキル壊滅的)っぽいですもんね。
進展しないんだろうな……

体調は結構マトモになりました~\(^_^)/
目眩がだいぶ治ってきたので、今は花粉との戦いです!

2016-04-11 Mon 08:08 | URL | rejea [ 編集 ]
行様。
確かに行様、細いのにエネルギーに満ち溢れてる感じですよね‼
羨ましい~(;´Д`)ゼェハァ体力欲しい~

もし公式でくっついたら私も一緒にローリングしますっ!
方淵の照れて赤くなった顔見てみたい~っ(なるのか?)
2016-04-11 Mon 08:11 | URL | rejea [ 編集 ]
まるねこ様。
今週花粉すごいですよね(ToT)
私も鼻水ノンストップですOTZ

こんな感じだと言っていただけて嬉しいです♪
黎翔×夕鈴みたいにお互いしか見えない‼っていう関係じゃない夫婦も面白いですよね。
愛は人それぞれ(笑)
2016-04-11 Mon 08:15 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-04-12 Tue 00:42 | | [ 編集 ]
ゆらら様。
体調大分回復してご飯モリモリ食べてます!ありがとうございます♪

ぅおあぁぁ、嬉しいコメントありがとうございます!
脇役の人達の性格を考えるの大好きなので(水月さんは謎)そう言って頂けると…( ;∀;)
おじさん好きとしてはパパたちも外せませんでした。

経倬、また会いたいですね。元気でしょうか。
この展開だと紅珠に対して嫁イビりしようとして、あっさり返り討ちにあう未来しか見えないですが(笑)
2016-04-12 Tue 08:13 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-04-14 Thu 21:53 | | [ 編集 ]
あい様。
ありがとうございます!
最近あい様のコメントで自らのブログのカウンター数値を知るという不届者は私です_| ̄|○←土下座

しかし最近本当に話がまとまらなくて全然書けておらず……
覗いて頂いてるのにすみません(/o\)
何か降ってこないかなぁ
2016-04-16 Sat 19:23 | URL | rejea [ 編集 ]

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