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狼陛下の花嫁SS・イラストなど

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無垢な子兎には甘い罠を

え?ホワイトデーネタ?
頭が痛い、聞こえない……
とか言って現実逃避してたrejeaです。
案の定イラストは描けなかったのであります(´・ω・`)

子犬のホワイトデー、平常運転であざとく参ります。

現パロ、年齢操作ありです。ご注意下さい。





「で、どうするんですか。」
李順はてきぱきと道具を揃えながら小さな主へ問いかけた。
「クッキーと言っても種類は様々です。
個人的にはナッツ入りの生地側面に卵とグラニュー糖をつけて焼き上げることで、ぱりぱりのカラメル状に仕上げるのがほろ苦くてオススメですが」
「それさぁ、ゆーりんの好みじゃないんじゃないかな……
てか、李順。何種類作れるようになったの」
呆れたような黎翔の眼差しなど気にもならないらしい。
李順は斜め上を見上げつつ、今まで試作を重ねた品々を思い浮かべる。
「そうですねぇ……あ、テュイル(薄い焼菓子)もクッキーとしてカウントしていいですか?」
「あ、うん、もうどうでもいいや」
男子中学生としてはちょっと異常なまでに菓子作りの腕が上達してしまった李順の言葉を、黎翔は面倒くさいとでも言いたげに遮った。
「そーゆー自己満っぽいのはいいからさー。
もっと夕鈴が喜ぶような、かわいいのが作りたいんだけど」
「そうですか。それなら無難に型抜きクッキーではいかがですか」
李順は気を悪くした風もなく、がさがさと大量のクッキー型を取り出した。
「ここはやはり、王道のハートですかねぇ」
大中小と各種揃ったハート型を手に取り黎翔へ渡す。
「お前どれだけ買いそろえたんだ」
やれやれと肩をすくめた黎翔は大量に集められた型を見やり、あ、と声を発した。
「李順、これ―――」
「気に入りましたか?」
「うん、これにする。夕鈴にぴったり」
黎翔は嬉しげに、まるまった兎を模した型抜きを手に乗せた。


クッキー作りに対する李順の姿勢は、主へ対するものとしてはなかなか厳しかった。
「ほら、きっちり分量を計って!5グラム少ないですよ」
「うぇー。変わらないよそれくらい」
「何を言ってるんですか。菓子作りの基本はきちんとした計量から!」
「はいはい、オカアサマー」
「はい、は一回!」
「……はぁーい」
どうやらきっちりした性格と菓子作りは相性が良かったらしい。
「きちんと覚えて夕鈴さんに教えてあげたいんでしょう?
なら文句は言わない!」
そう言われると黎翔としても従わざるを得ない。
ぶつぶつとぼやきつつではあったが、バターたっぷりの可愛らしい兎クッキーが出来上がった。
「やっぱり僕ってセンスあるのかなー。
いい感じだよね、コレ」
黎翔はほくほく顔で兎クッキーを手に取った。
さて、問題はどうやって夕鈴に食べさせるかだ。
「言っておきますが指を舐めるつもりなら止めて下さいよ」
バレンタインの前科があるだけに、李順も前もって釘を刺した。
「わかってるよー。感じ悪いなぁ。
僕のこと信じてないの?李順」
きゅるんきゅるんの眼差しで見つめてくる黎翔の愛らしい顔を、李順は半目で睨んだ。
「そういうところが恐ろしいんですよ、貴方は」



「うわぁ、かわいい!うさぎとハートの形だぁ」
夕鈴は黎翔手作りのクッキーを嬉しげに受け取った。
「えへへ。夕鈴ってかわいくてちっちゃくって柔らかくって、兎みたいだなぁって思ってたんだ」
黎翔は照れたように頬を掻いた。
自分が作ったものを喜んでもらえるということが、こんなにも心を温めるだなんて知らなかったのだ。
李順はぐちゃぐちゃと煩かったが、作ってみてよかった。
黎翔は公園のベンチに並ぶ夕鈴の明るい横顔と、自分の胸を満たす思いを噛みしめた。

夕鈴も夕鈴で、胸がいっぱいだった。
大好きな黎翔が手作りでクッキーを焼いてくれた。
しかも、作るのはこれが初めてだと言う。
(私にくれたのが、初めて……)
なんだかよく分からないが、そう思うだけで心臓がぴょんぴょんと兎みたいに跳ね上がる。
「どうしよう……すっごく嬉しい」
夕鈴がぽそっと呟いた声が聞こえたのか、黎翔はくすぐったそうに笑って、夕鈴の手に乗せられたクッキーの包みを開いた。
「食べてみないと、美味しいかどうかわからないよ?」
一枚手に取ると、夕鈴の口の前に差し出す。
「はい、あーん」
「えっ?えぇぇっっ!?」
夕鈴は顔を真っ赤に染めて戸惑ったが、黎翔はお構い無しに笑顔でクッキーを差し出している。
「あーんして?……ゆーりん、食べてくれないの?」
悲しげな紅い瞳にじっと見つめられると、嫌とは言えない。
「い、いただきます」
夕鈴は小さな口で、ぱくりとクッキーに食い付いた。
……これは、美味しい。
サクサクとして軽い口当たり。そして香ばしいバターの香り。
夕鈴は恥ずかしさも忘れてもぐもぐと頬張った。
「急がなくていいから、ゆっくり食べなよ。こうやって持っていてあげるから」
黎翔は半分かじられたクッキーを口の前に差し出したまま、小動物のようにもくもくと口を動かす夕鈴を見て頬を弛ませる。
ああ、この子兎はなんてかわいい生き物なんだろう。
無心に頬張る姿を見ていると、ほんの少しだけ悪戯心が沸いてくる。
(ちょっと味見するだけなら、いいよね)
黎翔はかりかりと食べ進む夕鈴の柔らかい唇にクッキーの最後のひとカケラまで入れてやりながら、ついっと自分の指先を触れさせた。
びっくりして目を丸くする夕鈴の前で、その指を自らの口へ運ぶ。
赤い舌がぺろりと指先を舐める様子を、夕鈴は半ば惚けたような顔で見つめている。
「クッキーが付いてたよ」
くすりと笑う彼の顔がいつもより大人っぽい気がして、夕鈴は真っ赤になって固まった。
黎翔は夕鈴の横顔にかかる髪を手で除けてやりながら、楽しそうに囁いた。
「ほら、口の横にも付いてる」
夕鈴が慌てて手で払おうとしたタイミングよりも一瞬早く、暖かく湿ったものが柔らかな肌に触れた。




「黎翔さまっ!事前に止めなさいと言ったでしょうが!」
「『夕鈴の指は』舐めてないもん」
ふふん、と得意気な黎翔に、李順の頭は沸騰寸前だった。
いつものお迎えに向かった後すぐに、夕鈴の手を繋いで走り出した黎翔に見事にまかれた。
やっと見付けたと思ったら、子犬の皮を被った狼はいとけない子兎の唇を触り、その指をわざとらしく見せつけるように舐め上げたところだった。
これはまずいと慌てて駆け寄ろうとしたが、時すでに遅し。
李順の視線の先で、黎翔は夕鈴の口の端ギリギリをまんまと味わっていた。
「全く貴方という人は!本当にいい加減になさい!
夕鈴さんはまだ小学一年生なんですよ?お父さんにどう顔向けする気ですかっ!?」
がみがみと叱りつける李順の話をいつものようにあっさりと聞き流し、黎翔は夕鈴の手を繋ぎ歩き出す。
「行こっか、夕鈴。青慎くんが待ってるもんね?」
にっこり微笑んだ顔は、いつもの優しくて明るい見慣れた表情だったけれど。
夕鈴は赤い頬を見られないように、ちょっとだけ俯いた。
(さっき、黎翔お兄ちゃんはなんて言ってた……?)


―――ねえ、夕鈴。今みたいに、僕のことだけ見て、僕のことだけ考えてて?
そうしたら、いつかきっと、もっともっと甘いものをあげるから―――


耳許で甘く低く囁いた彼の瞳は、なぜかずうっと前に動物園で見た狼を思い起こさせた。
もっともっと甘いものってなあに?と問いかけようとした時に、走ってきた李順の怒濤の説教が始まったので、結局それが何なのかは分からなかった。
(でも、今みたいに黎翔お兄ちゃんのことを思っていれば、いつか教えてもらえるよね)
夕鈴は隣を歩く整った顔にちらりと視線を向けた。
黎翔はすぐにその視線に気付いて、悪戯っぽく指を唇に当てた。
「さっきのは、ないしょだよ?」
流し目が何だか妙に大人っぽく見えて、やっぱり夕鈴の心臓は子兎のように跳ね回る。
「『さっきの』とは何ですか、黎翔さま!黙っていないで説明なさい!」
「ないしょだってば。煩いなぁもう」
「夕鈴さんと二人きりでクッキー作りなんて、絶対にさせませんからね!しっかり監視させてもらいますよ!」
李順と黎翔、二人の喧しいやり取りも、熱に浮かされたような夕鈴の耳には全く届いていなかった。





後記。
お菓子は私が夕鈴世代の時に購入したレシピ本を参考にしてます。長持ちだなーあの本。
因みに最近の稼働率は年1くらい……


因みに私は計量なんて無論適当です。
ケーキだろうがクッキーだろうが、砂糖なんて平気で20グラムくらい減量して作ったりします。
「レシピへの冒涜です!」
と、李順さんの怒濤の説教コース確定ですな。











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現代パロ | コメント:12 |
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コメント

噂のホワイトデーネタ。:+((*´艸`))+:。
やっぱりあざとい!!
李順さんのオカアサマ度がまたまた上がってるしヾ(≧∀≦*)ノ〃スゲー

深夜に読んだ私が悪いのだが…腹痛い(TДT)
笑い声抑えるのがツライですよ…このシリーズは♪
2016-03-15 Tue 01:25 | URL | りこ [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-03-15 Tue 08:15 | | [ 編集 ]
オカアサマ(笑)細けーなw←

あざとく子兎ちゃんを騙し誑す手口は鮮やかで清々しく、好感度アップです(笑)

最近はHMでしか焼き菓子作ってないな~…。娘はホワイトデーのお返しに「イチゴ味は嫌い!」とかケチ付けて、息子に処理させていました(笑)。我が子もかなりのあざとさだと痛感致しております( ̄∇ ̄)
2016-03-15 Tue 10:36 | URL | 行 [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016-03-15 Tue 13:25 | | [ 編集 ]
こんばんはー。
まずい、まずい、まずいですよ、ウサギちゃん。
今はやりのジビエ料理見たく、おいしくいただかれてしまいます(-_-;)
まだ小学生なのに!
なんとなくこのあざとい小犬が元帥に見えるのは私だけでしょうか。
2016-03-15 Tue 23:23 | URL | ゆらら [ 編集 ]
おはようございます(o^^o)先日はありがとうございました。
あざとい子犬はやはりホワイトデーもあざとかった^^;
しかしこの年齢でこんな子いたら大変だな。
私は、ホワイトデー?何それ美味しいの?という感じで話をupしようとも思ってなかったので皆さんすごいなーと読み専してます。
2016-03-16 Wed 08:10 | URL | まるねこ [ 編集 ]
りこ様。
笑っていただけると、とてもほっとします(笑)
あざとくても許してもらえて良かったです\(^-^)/

前日の時点で半分以下しか書いていなかったので、帰りの電車で取り組みました。
そして燃え尽きた……( ゚д゚)
2016-03-16 Wed 17:38 | URL | rejea [ 編集 ]
あい様。
共に説教部屋行きましょう(笑)
私、甘過ぎる匂いって苦手なので、ガトーショコラ焼いたりすると毎回「オェェェ」って唸るハメになります。←やはり説教部屋

黎翔くんはどうなるのか……
うーん…きっと幸せな合法的新婚生活を送るのでは( ´∀` )b
2016-03-16 Wed 17:46 | URL | rejea [ 編集 ]
行様。
まさかの好感度アップ(^o^)/良かったね黎翔くん。
彼に好感度なんてあったのか……

あらあら娘さん、小悪魔の素質ありと見ましたよー‼
「あざとい子兎」??

2016-03-16 Wed 17:52 | URL | rejea [ 編集 ]
くれは様。
グラニュー糖ってお菓子作る時くらいしか使わないんですよねぇ…そして余る。
私は適当にきび糖使って菓子やらパンやら作ってました。
スポンジケーキは高度なので作れません(笑)

亀仙人のじいちゃん!!
DB好きなので嬉しいですヽ(^o^)丿
2016-03-16 Wed 20:46 | URL | rejea [ 編集 ]
ゆらら様。
おおぅ、ジビエ!!野趣溢れる高級素材♪
簡単には喰わせないぞ~~~~←鬼

子犬と元帥は似てると思います!
二人とも陛下よりは苦労なしなのに、ハイスペックで生きてきたのでとても我儘です。
多分、元帥の方がアホで詰めが甘いのですが、その分可愛げがあるような(そう思うのは私だけかも)
子犬はなんていうか困った子なので、可愛くはないです(笑)
2016-03-16 Wed 20:56 | URL | rejea [ 編集 ]
まるねこ様。
こちらこそありがとうございました!
お会いした時点では三分の一くらいしか書いてなかったので、半ば諦めかけてました(笑)

自分の身の回りには居て欲しくないけど、遠くからニラオチするなら面白い、そんな人です子犬。
特に身内には欲しくないなぁ…と書いていて切実に思います。
こんなのが息子だったらと思うと(ToT)
李順さんカワイソウ。。。
2016-03-16 Wed 21:02 | URL | rejea [ 編集 ]

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