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天狼星 4  闇夜に咲く花

注)シリアスな上に甘くなく、且つ設定をねつ造しております。
苦手な方はスルーなさってください。
詳しい設定はこちら→ 天狼星について


「それにしてもひと月の間に5人―――しかも最後には焦って尻尾まで出しちまってる。何かよっぽど急いでる理由でもあるのかねー。」
その目に笑いを潜ませた浩大が誰にともなく口にする。
「李順。出入り業者の最終決定の日取りはいつだ?」
「今から3日後ですが……まさか黎翔様……」
「ふむ。やっぱり急がないといけないようだし。ここは僕らで囮でもやろうか。」
「そーこなくっちゃ!面白くなってきたねっ。」

勝手に盛り上がる黎翔と浩大に、李順の顔は一気に青ざめた。隣では克右が「やっぱりか」という顔をして項垂れているが、そんなものを気にしている場合ではない。
「何を仰っているのですか!囮だなどとっ。尊い御身がされることだとお思いですか!?」
「だから、そんなこと言うのはお前くらいだっていうのに。それにな、李順。」
薄らと微笑む黎翔の瞳が暗く光る。
「半年もすれば明日をも知れぬ辺境の戦線に立たされる身だ。今くらいは遊ばせてもらっても良かろう?」
「―――っ。」
それを言われたら。
私が何も言い返せないのを判っていて、あえてそう言う。この方はそういう方だ。
李順は言葉に詰まった。
しばし逡巡したが答えは主が口を開いた時点で決まっているようなものだ。
「……分かりました。今回は特別ですからね。」
「いえーいっ。また、李順サンの特別、頂きましたーっ。」
茶々を入れる浩大を思い切り睨んでから李順はもう一度黎翔に向きなおる。
「しかし、黎翔様。先ほど囮と仰いましたが……まさか、その……」
「浩大。文応に言って女物の衣装を二人分用意させろ。」
「了解!黎翔様とオレにばっちり似合うの誂えてもらってくるわ。」
李順は思わず卒倒しかかって、気付いた時には浩大は既に姿を消していた。
「決行は明日。久しぶりに楽しくなりそうだ。」
にこにこと微笑む黎翔を前に、李順と克右は深く深く項垂れた。


翌日の夕刻。
克右との鍛錬を終え湯浴みを済ませた黎翔の自室で、浩大はびらびらと衣装を広げた。
「やー、さすが荷のおっちゃんだね。着丈もぴったり、体の線も隠せるからこれならどっからどー見てもかわいこちゃんだよ。黎翔様とオレなら素材も一級品だしね。」
「荷長官とお呼びしなさい。しかし、本当にやるんですかこの作戦……」
李順は何度目か分からない問いをもう一度口にした。
「しつこいなー李順。さて、着替えるとするか。浩大、化粧の品も揃っているんだろうな?」
「それはもちろん。隠密には欠かせない道具だからね。ほら、李順さんもぼさっとしてないで手伝う!教えてあげっからさ。」

ぎゃーぎゃーと騒ぎつつ、一刻後には準備が整った。
「…まぁ、黎翔様の素材がいいのはもちろんなんだけどサ。」
「…ああ、李順のあの無駄な技術は何なんだ。」
初めて化粧の手ほどきを受けた李順だったか、生来の器用さ故かその出来栄えは本職のものと大差ない。
浩大と克右は改めて側近の多才ぶりに目を丸くした。
「これならばばれることもなさそうだな。外套を纏えば分からんだろう。」
黎翔は鏡で自らの艶姿を確認すると満足げに微笑んだ。



夜も更けた頃。
娼館の連なる夜道を二人の娼婦が歩いていた。
辺りに人影はなく、靴音だけがこだまする。
計算外の獲物の訪れに、男は自分の幸運を喜んだ。
5人目を攫ってからというもの、怪しまれないよう情の深い恋人を演じて娼館に顔を出す毎日。そんな中上からは早く次の女を連れてこいとどやされるし困り果てていたのだ。
女二人程度なら自分だけで十分。あて身で気絶でもさせてそこらの荷台を拝借して連れ帰ればいい。
男は足音を立てないよう、一気に距離を縮めた。
―――その瞬間、がつんという鈍い音がして、男の視界は黒く染まっていった。


気付いた時には猿轡を噛まされ、小屋のような粗末な建物の床に転がされている。
手足の自由も利かず、男はうぐ、とくぐもった声を漏らした。
「気付いたみたいだね。」
薄闇の中から可愛らしい茶色の髪の娼婦が現れ、声をかけてきた。
「下手なことしないで、こっちの質問にちゃんと答えてね。そうしないと痛い目見ることになるから。」
そう言いながら猿轡を外される。だが、相手はたかが女だ。男は鼻で笑った。
「そんな細腕でどうするってんだ、お嬢ちゃん。いたぶってでもくれるのか?」
そう答えると部屋の片隅から背の高い男が現れて、体を縛る荒縄を強く引っ張られた。
「あんまり調子に乗るなよ。素直になった方が身の為だ。」
無理やり引き起こされた男は抗い、床に唾を吐きかけた。その時。
「いい、克右。私がやろう。」
男の耳に、冷たく響く声。
そこに居たのは闇夜にも艶やかな、見たことがないほど美しい娼婦。
男は自分の立場も忘れ、呆けたように娼婦に見入った。
「あーあ、一番怖い人に当たっちゃったね、お兄さん。さっさと喋っといた方が幸せだったのに。」
くすくすと可愛らしい娼婦が笑う。
悪い夢のような光景に、男の膝はガタガタと震えた。
「さぁ、夜は始まったばかりだ。ゆっくり愉しませてもらおうか―――」
ゆらり、と娼婦が近づく。
夜目にも紅い瞳が男を見降ろす。嬉しげに微笑む頬は桜色に染まり、ぺろりと舐められた唇は湿り気を帯びて艶めく。
それはこの世のものとは思えないほど怪しく蠱惑的な光景だった。


後記。
美少年といえば女装、という思いつきから書いてしまいました。
絵も描きたいけど、きっと自分でがっかりするのでとりあえず保留です。
ものすごい美少女に拷問されたであろうお兄さんは、きっとまともな趣味に戻れないことでしょう。
合掌。
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天狼星 | コメント:5 |
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コメント

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2015-04-20 Mon 00:45 | | [ 編集 ]
うぅっ…貴女からのご下命とあらばっ(T_T)/
ガクブルですがとりあえず描いてみます
少しお時間かかるかと思いますが頑張ります

そこで、お願いなんですが…
アップする際にリクエスト頂いたということで本文にお名前を乗せても大丈夫でしょうか?
2015-04-20 Mon 12:41 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-04-20 Mon 14:14 | | [ 編集 ]
イラストですが。
描いては悩み、を繰り返しております…
もう少々お待ち下さい!!
2015-04-22 Wed 09:52 | URL | rejea [ 編集 ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015-04-22 Wed 16:00 | | [ 編集 ]

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